|
呼吸器と、かぜによって起こる炎症
かぜによって炎症が起こるのは、呼吸器の入り口である鼻からのどのつきあたりの部分で、咽頭炎や喉頭炎を引き起こす
|
|
●かぜ
鼻腔(びくう)、口腔(こうくう)、咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)、気管支などの上気道に、急性の炎症を起こす病気をかぜといいます。
原因 かぜの原因は、主としてウイルスの感染です。ウイルスは1種類ではありません。たとえば咽頭炎はアデノウイルス、鼻かぜはライノウイルスが原因でよく起こります。
感染は、ほとんどが飛沫感染(ひまつかんせん)です。くしゃみやせきによって飛び散った病原体から感染します。
かぜは冬に多い病気で、寒さは誘因のひとつです。
一般に、●冷たい風などで体が冷えたり抵抗力が落ちたりしたとき、●空気が乾燥していて呼吸器の粘膜が傷んだとき、などにかぜをひきやすくなります。そのため、これらの条件がそろう冬に多いのです。
症状 一般に、鼻やのどの違和感、くしゃみや鼻水で始まります。
やがて、のどの痛み、せき、鼻づまりがあらわれます。全身の倦怠感(けんたいかん)、頭痛、寒け、発汗もみられます。熱は、出てもあまり高くなく、37〜38度くらいです。
原因となったウイルスによっては、吐きけや下痢も起こります。
症状は人によって異なりますが、各個人にあらわれる症状は、かぜをひくたびにくり返される傾向があります。決まってのどが赤くなって痛む、頭痛を起こす、せきが出る、といったようなぐあいです。合併症として、扁桃炎(へんとうえん)や気管支炎などが起こりやすくなります。
ほかの重い病気の初期に、かぜのような症状があらわれることもあります。症状が最初から激しいときやむくみを伴う場合は、肺炎、肝炎、腎炎(じんえん)などの可能性もあるので注意が必要です。
治療 かぜ薬として市販されている薬はたくさんありますが、ウイルスに対して効果のある薬は発見されていません。薬による治療は、それぞれの症状を改善する対症療法です。したがって、症状に合わせて、数種類の薬が用いられます。
頭痛、発熱、筋肉痛などには鎮痛解熱剤、鼻水や鼻づまりには抗ヒスタミン剤、せきには鎮咳剤(ちんがいざい)、たんには去たん剤が用いられます。
総合感冒薬として市販されているものは、これらの薬が処方された合剤です。症状によっては、飲まないほうがいい薬剤が配合されている場合もあるので、総合感冒薬だけに頼るのは、あまりよいことではありません。
特効薬がないだけに、安静、保温、食事などに注意することが大切です。
かぜをひいたと思ったら、●なるべく早く十分な休養をとる、温かい衣服を着て保温をする、●栄養のある、消化のよい温かい食事をとる、●水分を補給する、●酒、タバコ、入浴を控える、などの生活の注意を守りましょう。なかでも十分な休養、睡眠が重要です。
ごく軽いかぜなら、温かくして早めに就寝し、ぐっすり眠れば一晩でかなりよくなります。鼻水やくしゃみなども、数日間安静にしていれば治ります。
症状が1週間以上続いてよくならないときは、合併症やほかの病気が心配なので、医師の診察を受けます。このとき、症状の経過や、市販の薬を飲んだかどうかなども告げます。
予防 かぜ予防のポイントは、抵抗力をつけることと、ウイルスに感染しないようにすることです。
抵抗力をつけるためには、●栄養バランスのとれた食事をとる、●風呂上がりに冷水摩擦や乾布摩擦を行う、といったことが効果的です。
感染を防ぐには、●気温の変化に合わせて衣服を調節する、●部屋の換気をして湿度を保つ、●うがいや手洗いをこまめにする、などが大切です。
また次のような人は、かぜをひきやすいので、特に注意が必要です。●自律神経が過敏で炎症を起こしやすい人、●アレルギー体質でウイルスやバイ菌がつきやすい人、●慢性の感染症にかかっている人、●免疫力が低下している人(幼稚園や保育園に通いはじめたばかりの子供に多い)。
●インフルエンザ
原因 かぜのウイルスのなかでも強い力をもつ、インフルエンザウイルスの感染によって起こり、流行性感冒とも呼ばれます。
インフルエンザウイルスには、A、B、Cの3つの型があります。ほとんど毎年流行しますが、どの年にどのウイルスが流行するかは予測がつきません。
感染経路はふつうのかぜと同じ飛沫感染です。
症状 潜伏期が1〜2日あり、突然症状が出ます。まず、急に寒けがして熱が上がります。同時に、頭痛や倦怠感、食欲不振、鼻やのどの異常などがあらわれます。ふつうのかぜと同じような症状ですが、どれも程度は重く、急激です。
熱は最初の日に最も高くなることが多く、38〜39度、あるいはそれ以上になります。数日から1週間で熱は下がり、ほかの症状も軽くなってきます。
熱がなかなか下がらないときや、熱が下がってからも体の衰弱が続くときは、合併症が疑われます。インフルエンザの合併症として代表的なものは肺炎で、ひどいせきやたんを伴います。そのほかにも、まれではありますが心筋炎や脳炎を起こすことがあります。
治療 かぜの場合と同じで、ウイルスに対する特効薬はありません。
鎮痛解熱剤やせき止めなどを服用するといった、薬による対症療法が治療の中心になります。
そのほか安静と保温を心がけ、消化のよいものを食べ、水分を十分にとるように気をつけます。1週間ほどで症状はおさまってくるでしょう。
合併症の予防と治療には、必要に応じて抗生物質が投与されます。
回復期にはあまり無理をせず、しばらくは仕事も控えて生活することが望まれます。
予防 インフルエンザを予防するための生活上の注意は、かぜの場合と同じです。特に、感染を防ぐ注意が大切です。インフルエンザにかかっている人との接触をなるべく避けます。
抵抗力を高めるために、ワクチンの注射を受けることも効果的です。2〜3種類の新しいウイルスを使ってつくられたワクチンを、1週間ほど間をおいて2度注射します。効き目は2週間ほどであらわれ、3〜6か月間持続します。副作用はほとんどありません。効果のある期間が短いので、インフルエンザの流行する前に、毎年受けます。
●マスクでかぜ予防は無理 かぜウイルスは、ガーゼ4〜5枚は簡単に通るし、短時間で細胞内に入ってしまうので、予防効果はない。