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| 病気編 胃の病気 胃・十二指腸潰瘍 |
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潰瘍のできやすいところ 最近、胃潰瘍と比較して十二指腸潰瘍の比率が高くなる傾向にある。また、30歳代では十二指腸潰瘍が圧倒的に多く、年齢が上がるにつれて胃潰瘍がふえる |
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潰瘍の治る過程(内視鏡撮影) [1]出血のある活動性胃潰瘍[2]白苔(はくたい)をかぶっている胃潰瘍[3]治りかけの胃潰瘍。縮小してきている[4]潰瘍が治ったあと{瘢痕(はんこん)} |
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胃潰瘍の進行 深い潰瘍になるほど治りにくく、治ったあとのひきつれ(瘢痕)もひどくなる。再発もしやすくなるので、早期治療が大切 |
原因
食事と食事の間隔があきすぎて、胃の中に消化するべき食べ物がないときでも、胃液は分泌されつづけます。直接、胃液にさらされた内壁には、潰瘍ができやすくなります。また、塩辛いものや刺激の強い香辛料などを長い間食べつづけると、胃液の分泌が促進され、粘膜が荒れて、潰瘍ができやすい状態になります。
食生活や食習慣のほか、ストレスも大きな原因になります。
胃や十二指腸の内壁を守っている粘液は、血液によって運ばれ、粘膜から分泌されます。ところがストレスを受けると血管が収縮し、血液の流れが悪くなります。すると粘液が十分に分泌されなくなり、粘膜の機能が低下して、潰瘍ができやすくなるのです。
このように、不規則な食生活や、食習慣、ストレスが胃潰瘍のおもな原因です。ところが、数年前にピロリ菌という細菌が注目されて以来、少し考え方がかわりました。
ピロリ菌は胃潰瘍の直接の原因になるわけではありません。ピロリ菌が胃の中に住みついてしまい、そこにストレスなどが加わると、潰瘍ができやすいのです。つまり、ピロリ菌の感染者というベースに、原因が加わると胃潰瘍になりやすいということです。
ピロリ菌の感染経路は、まだはっきりとはわかっていません。けれど、この細菌は昔からいるものであり、どうも衛生環境のよくないところに多いようです。これから研究がすすめられ、いろいろなことがわかってくるでしょう。
症状
みぞおちが痛い 空腹のときや胃液の分泌が、盛んになる夜間に痛むことが多く、何か食べるとおさまります。食後2〜3時間で上腹部が痛む場合は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が考えられます。
胸やけ、胃のもたれ 上腹部に不快感があり、胃が締めつけられるような感じがします。
便が黒くなる 潰瘍からの出血が便にまじって、コールタールのような黒光りする便になります。
貧血 胃や十二指腸からの出血が多くなると、貧血を起こすことがあります。
さらに病気が進むと、重い合併症を引き起こすことがあります。次のような症状があらわれたら、すぐ専門医の治療を受けます。
吐血 胃からの出血で、コーヒーかすのような色の血が出ます。
突然の激しい腹痛 潰瘍が進み、胃や十二指腸の壁に孔(あな)があいた状態{穿孔(せんこう)}。おなかが板のようにかたくなり、腹膜炎になることも。
激しい痛みが背中や下腹部に散る 図に示したように、胃や十二指腸に孔があき、かろうじてほかの臓器でふさがれた状態{穿通(せんつう)}になると起こります。
吐きけ、嘔吐(おうと)、みぞおちのはりや、もたれ 潰瘍が幽門部にできて、食べ物が通らなくなる{幽門狭窄(ゆうもんきょうさく)}と起こります。
検査と診断
症状だけでは診断しにくいので、X線検査と内視鏡検査、さらに、小さい組織をとり出して顕微鏡で検査する生検があります。
潰瘍になるとがんを心配する人もいますが、潰瘍ががんになることはほとんどありません。しかし、症状には類似点もあるので、前述の3つの検査によって確定診断します。
治療
現在、潰瘍治療の中心は薬です。
薬 潰瘍の薬には、胃酸の分泌を抑えるものと、粘膜を保護し血流をよくして、粘液の分泌をうながすものがあります。これらを使い分けたり、併用して治療します。
なかでも胃酸の分泌を減らすためには、H2ブロッカーという薬がよく使われます。
1980年代に使用され始めたH2ブロッカーは、潰瘍治療に画期的な成果をもたらしました。H2とは、H(ヒスタミン)の第2の働きのことで、これは胃酸を分泌する作用です。H2ブロッカーはこの作用を抑える働きがあります。1日に1〜2回の服用で、胃酸の分泌を80%以上もブロックすることができ、安全性についても確認されています。
この薬のおかげで、多くの潰瘍患者が、手術を受けることなく、通院治療で回復するようになりました。
薬の服用については、医師の指示を守り、完全に治るまで飲みつづけることが大切です。
また、ピロリ菌がいるかぎり胃潰瘍はよくなりませんので、抗生物質の投与が必要になります。抗生物質でピロリ菌を完全に殺菌できたら、胃潰瘍の再発はほとんどなくなるという報告があるほどです。けれども、抗生物質の使い方はピロリ菌の研究とともに、今後の課題です。
手術 潰瘍の手術は、胃の切除のほか、胃液の分泌をうながす迷走神経を切る方法などがあり、症状に応じて適切な処置がとられます。
多くは穿孔、穿通など緊急の場合に手術が行われます。しかし、次の条件のうちどれかにあたる人は、医師と相談のうえ手術を考えたほうがよいでしょう。
●長期間、薬で治療をしているのに完治しない人、●H2ブロッカーでも治らない人、●職業上の理由などで生活が非常に不規則な人、●ホルモンの異常が原因の潰瘍、●高齢で、糖尿病やリウマチなどの慢性病を併発している人
内視鏡止血法 出血を伴う潰瘍も、浅いものなら、切除でなく内視鏡を使って止血することができます。急性の潰瘍で出血が激しい場合は、内視鏡で応急の止血処置をし、あらためて切除手術を行って完治させることもできるようになっています。
生活上の注意
食事療法 食事は規則正しく、刺激物を控え、消化のよいものをよくかんで、ゆっくり食べます。量も腹七分目程度に抑えます。
安静 通常の生活をし、仕事も続けてかまいませんが、疲れすぎないよう注意します。ストレスの解消も重要です。趣味に打ち込んだり、気分転換を心がけましょう。
再発防止
潰瘍は比較的治りやすい半面、再発する率が高いという特徴があります。再発防止のためには、まず薬の服用を根気よく続けること、日常生活にも節制が必要です。
睡眠を十分にとり、適度な運動をし、香辛料・アルコールを控え、タバコはやめます。
これらを実行できれば理想的ですが、決まりを守ろうとしすぎてかえってストレスになっては逆効果。自分なりに工夫しましょう。
●胃の蠕動(ぜんどう) 食べ物や胃液を腸のほうへ送る規則的なうねりで、1分間に3回ほど起こる。胃の入り口より出口のほうが大きくうねる。