現代医学 漢方薬

病気編 女性の病気 月経困難症/不正出血

診察のポイントはお血(おけつ)
 月経困難症は漢方が最も得意とする分野です。独特の診断方法で、お血(おけつ:血液の流れの停滞)が認められることがほとんどです。ヘそから下腹部あたりを押すと抵抗や痛みを感じる人は、まずお血と考えてよいでしょう。
 この場合、体力があれば桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を、また体力がなければ当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などの駆お血剤(くおけつざい)を用いると効果があります。ほとんどが全快し、治癒(ちゆ)すると再発しないのが漢方の特徴です。
 子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)による月経痛や不正出血の場合には、鶏の卵ぐらいの大きさの筋腫であれば、漢方薬で治療することができます。ただ、激しい月経痛を伴う子宮内膜症は、漢方治療では困難と思ってください。


症例●3か月で月経痛が消えた
 24歳のOL。初潮以来月経痛がひどく、学校や会社を休むこともたびたびでした。体力はふつうで、腹診してみるとお血が認められたため、折衝飲(せっしょういん)を用いました。すると次の月経には痛みは半減し、3か月後には月経痛は完全になくなりました。

自分で選ぶ 体力別 月経困難症/不正出血の特効漢方
お血の診察は、患者を寝かせて行う。あお向けになり、両足は伸ばす。中指と人さし指をへそのあたりから左斜め下や下腹部に移動していくと、抵抗を感じたり、痛みを訴える{ときにはひざをかがめて疼痛(とうつう)を訴える}ときは、お血のある証拠。
下表の◎=決め手になる症状 ○=あらわれやすい症状 △=ある場合もない場合もある症状を示す。

あなたの体力は?→ ある ふつう ない
自覚症状↓
便秘しやすい






便秘が強い








頭が痛い・頭が重い




顔色が悪い(貧血ぎみ)







顔が赤黒く、脂ぎっている








皮膚が渋紙色をしている








皮膚が荒れている







のぼせやすい




肩がこる





どうきがする





みぞおちがつかえている感じ






腹が痛い





下腹部が冷えて痛い








腰が痛い






腰が冷える





手足が冷える



手足がほてり、足が冷える








背中が熱かったり寒かったりする








感情が不安定







月経異常
月経痛が強い
月経血に血のかたまりがある
処方薬参照先 10


1 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)★▲◆
  お血(おけつ)があり、多少のぼせる傾向のある人に向く。
2 通導散(つうどうさん)★▲
  お血があり、みぞおちが苦しく圧痛を訴える人に。
3 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)★▲◆
  お血があり、便秘や肩こり、のぼせのある人に向く。
4 大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)★▲
  回盲部(へそと右の腰骨を結ぶ線の中間あたり)を押すと抵抗や痛みのある人で、便秘がちな症状に効く。
5 温清飲(うんせいいん)★▲◆
  皮膚に色つやがない人の不正出血に効く。
6 加味逍遙散(かみしょうようさん)★▲◆
  多様な不定愁訴がある人に効く。
7 折衝飲(せっしょういん)
  お血があり、特に月経痛が強く、月経不順の人に向く。
8 五積散(ごしゃくさん)★▲
  腰から上はのぼせ、下は冷える人によい。
9 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)★▲◆
  お血があり、血色が悪く、冷え症でときに軽いめまいを感じる症状の人に効く。
10 温経湯(うんけいとう)★▲
  血色がすぐれず、夜、手がほてって寝苦しい人に合う。

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