現代医学 食事 漢方薬

病気編 内分泌・代謝異常・栄養障害 肥満症
 太りすぎで悩んでいる人のなかには、東洋医学の神秘的なイメージにひかれてか、漢方薬に多大な期待をかける人もいるようです。
 しかし現代医学同様に、漢方でも肥満を薬だけで治すことはできません。
 視床下部(ししょうかぶ)に腫瘍(しゅよう)があり、食欲が異常に亢進(こうしん)するなどの特殊な場合を除いて、肥満の原因は食べすぎと運動不足の2つであることは、東洋医学でも現代医学でも変わりない見解なのです。
 ですから、肥満を解消するには、たとえ漢方であっても、食事のエネルギー制限と運動不足解消が基本になります。

薬は補助手段と考える
 経験のある人も多いでしょうが、食事の制限は非常に苦しいものです。
 そのために、よけい薬に期待がかかるわけですが、まずは本人の努力と意志が大切であることを肝に銘じてください。
 その努力のうえに、適切な漢方が加わることで、より確実な効果が生まれるのです。
 薬を用いる場合は、おなかが、へそを中心にしてビール樽のようにふくらみ、便秘がちな人には防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)、肋骨(ろっこつ)の下を押すと抵抗感と圧痛があり、みぞおちがつかえるような感じと、口の中が粘ついて苦く、肩こりや便秘がちな人には、大柴胡湯(だいさいことう)が効きます。
 また、水太りで締まりがないタイプで、汗が出やすく、腰から下がなんとなく重く、ひざから下が痛む人には防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)が効きます。


症例●75kgを半年で69kgに減量
 163cm、75kgという肥満体だった55歳の主婦A子さんは、非常に汗っかきで、腰から下が重く、ときどきひざが痛むとのことでした。おなかなどを押すと、ぶよぶよとした感じの、水太りタイプです。
 この症状に合わせて、防已黄耆湯を投与しました。さらに、油っこいものや甘いもの、ご飯、パン、めん類など、太る食べ物も控えるように注意しました。
 この結果、体重は1か月に1kgの割合で減っていき、半年後には69kgになりました。しかし、A子さんは食事制限が守れないらしく、これ以上は減りませんでした。

自分で選ぶ 体力別 肥満症の特効漢方
へそを中心に膨満しているいわゆる太鼓腹の人には、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)を用いるが、胃腸が著しく衰えている場合に服用すると、下痢や食欲不振などの胃腸障害を起こすことがあるので要注意。
下表の◎=決め手になる症状 ○=あらわれやすい症状 △=ある場合もない場合もある症状を示す。

あなたの体力は?→ ある ふつう ない
自覚症状↓
便秘しやすい


尿量が少ない




不眠傾向





頭が痛い




めまいがしやすい





汗をかきやすい




赤ら顔




疲れやすい




のぼせやすい



肩がこる



耳鳴りがする




鼻がつまる





せきが出る




口の中が粘ついて苦い





どうきがする




腰が重い





手足が冷える





足がむくむ





ひざが痛い





月経異常





イライラして落ち着かない





腹部の皮下脂肪が厚い



処方薬参照先


1 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)★▲◆
  腹部がビール樽状に膨満している人に。
2 大柴胡湯(だいさいことう)★▲◆
  体のがっちりしたかた太りタイプに。
3 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)★▲◆
  へその左斜め下を押すと痛みを感じ、のぼせ傾向の人に。
4 大承気湯(だいじょうきとう)▲
  配剤されている大黄は下剤の効果があるものなので、1日2回ぐらいの排便になるよう量を調節してもらう。
5 瀉脾湯(しゃひとう)
  便秘傾向があるが、下剤を飲むとおなかが痛んで苦しい人に。
6 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)★▲◆
  水太りタイプで、汗が出やすく、腰から下が重い感じのする人に。長く服用すると体が締まり、下半身のだるさもとれる。
7 九味半夏湯加赤小豆(くみはんげとうかせきしょうず)
  いわゆる中年太りの人で、水太りタイプに近く、のぼせやめまいを起こしやすい人に向く。

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