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現代医学 |
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食事 |
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| 病気編 肝臓の病気 急性肝炎 |
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肝臓の位置と働き 上腹部のやや右寄りにあり、右肋骨(みぎろっこつ)に隠れている。体にとり入れられた栄養分を、分解・合成したり、毒物を処理したりする |
原因
原因となる肝炎ウイルスとして、A・B・C・D・E型の5種類のウイルスが知られていますが、D型とE型は日本には存在しません。わが国の肝炎の原因ウイルスは、A型、B型、C型の3種類だと考えられています。
A型肝炎 経口感染で、主として飲食物を通して感染します。衛生状態のよい現在の日本ではしだいに減少してはいますが、それでも急性肝炎のうち20〜30%はA型です。発展途上国への旅行の際、汚染された食物や生水から感染するケースもふえています。
B型肝炎 血液や体液から感染します。輸血や、注射器・注射針による感染、性行為による感染などの水平感染と、母親から子供に感染する垂直感染があります。
体内にB型肝炎ウイルスをもっていても、発病しない人のことをキャリアーといいます。キャリアーになるのは新生児や、2〜3歳以下の子供が感染した場合だけです。キャリアーは大人になってから急性肝炎を起こすことがあります。
C型肝炎 わが国で最も多い肝炎で、急性肝炎の50%、慢性肝炎の70%がC型肝炎ウイルスが原因です。血液検査で診断できます。
感染経路は、B型と同様に血液や体液ですが、まだはっきりわからない部分もあります。輸血によって感染することが多かったのですが、C型肝炎ウイルスのチェックが行われるようになり、輸血による肝炎は目にみえて減ってきました。
C型急性肝炎は、慢性肝炎に移行する頻度が高いことが特徴です。急性肝炎にかかると、半数以上の人が慢性化するといわれていますので注意が必要です。
症状
ウイルス性肝炎は、感染してから1〜6か月の潜伏期を経て発病し、さまざまな症状が出ます。
全身がだるい 体全体に倦怠感(けんたいかん)があります。かぜや疲労、夏ばてなどと間違えることがあります。
胃腸障害 食欲がなくなります。吐きけや嘔吐(おうと)、腹痛、下痢などがあらわれる場合もあります。
発熱 多くは微熱程度ですが、38度以上の高熱が出ることもあります。
黄疸(おうだん) 尿が褐色になり、眼球の白目の部分が黄色っぽくなります。黄疸はほかの症状よりも遅くあらわれ、1週間ほどでピークに達し、ほかの症状の回復とともに消えていきます。
急性肝炎のほとんどは、発病後まもなく症状が消え、2〜3か月から遅くても6か月以内に肝機能も正常化します。
劇症肝炎の場合 肝細胞の破壊がひどく、肝機能が極度に低下するため、出血傾向や意識障害があらわれます。
診断
血液検査で比較的簡単に肝炎の診断ができます。
血清中に含まれる酵素の量をあらわす、GOT、GPTなどの数値が高くなることが、ひとつの目安になります。
血液検査では、このほか肝臓の代謝機能、黄疸の程度、血液の凝固能力などを調べ、これらを総合して肝炎の病状を診断します。
A型肝炎の診断 血清中の「HA抗体」を測定することで、早く、確実に診断することができます。
B型肝炎の診断 血清の中に、「HBs抗原」があらわれると、B型肝炎と診断できます。
HBs抗原の有無は、B型肝炎のキャリアーの診断にも大切です。
C型肝炎の診断 血清中の「HCV抗体」あるいは「HCV・RNA」の検査を行い、これが陽性であればC型肝炎と診断できます。
治療
急性肝炎の治療で大切なのは、薬よりも安静と食事です。医師の指示を守って徹底的に治しておくことが肝心で、これを怠ると慢性肝炎に移行することがあります。
安静 倦怠感や食欲不振がひどいときには、入院して点滴などを受けます。入院するほどでない場合も、体を横にする時間をなるべくふやし、肝臓に血液が多く流れるようにすると、回復も早まります。特に食事のあと、30分〜1時間横になると、肝臓の負担が軽くなり、新しい細胞が再生しやすい状態になります。
食事 高たんぱく、高エネルギー、高ビタミンが原則です。食欲不振や嘔吐の症状があるうちは、消化のよいものをとり、食欲が出てきたら、栄養価の高いものを積極的に食べます。特に、動物性のたんぱく質は、肝機能の回復を早めます。肉、卵、牛乳、レバーなど、必須アミノ酸の豊富な食品が効果的です。ただし、食べすぎて肥満にならないよう注意しましょう。
薬 胃腸の調子をよくしたり食欲増進のための薬、食事で十分なビタミンがとれないときのビタミン剤などを、補助的に服用します。
そのほか、インターフェロンによる治療も試みられていますが、まだ試験段階です。
予防
A型肝炎 経口感染なので周囲に患者がいるときには、食前によく手を洗うなど、ウイルスが口に入らないよう気をつけます。また衛生状態の悪い国への旅行中は、生の食べ物、生水は避けます。出発前に、免疫グロブリンの注射を受けるのもよいでしょう。
B型肝炎 ワクチンで感染を予防できます。母子感染を防ぐためには、新生児へのワクチン投与が有効です。血液を介する感染なので、キャリアーの人は、他人に血液を付着させないように注意します。
C型肝炎 血液を介しての感染を防ぐために、B型と同様の注意が必要です。ワクチンやグロブリンなどの確実な予防法は、まだ確立されていません。
| 肝炎ウイルスの種類と特徴 |
| 経口感染 | A型肝炎ウイルス | 流行性があるが、慢性に移行することはない。日本では急性肝炎のうち20〜30%がこのタイプ。 |
| E型肝炎ウイルス | ウイルスはすでに発見されており、流行性がある。しかし、わが国にはほとんど存在しない。 | |
| 血液・ 体液感染 |
B型肝炎ウイルス | 発病して治り、抗体ができる一過性感染と、発病もせず抗体もできないままキャリアーとなる持続感染とがある。 |
| C型肝炎ウイルス | わが国では最も多く、急性肝炎の50%、慢性肝炎の70%がこのタイプ。 | |
| D型肝炎ウイルス | B型肝炎ウイルスのキャリアーにのみ感染する特殊なウイルス。わが国にはほとんど存在しない。 |
●肝臓病の原因 肝炎の原因は、ウイルスが圧倒的に多い。慢性肝炎の80%がウイルス性で、アルコール性は20%にすぎない。