基礎知識編 PART1 ツボ療法入門
灸のすえ方
●灸療法は、なぜ効くのか
 灸(きゅう)は、皮膚へ温熱の刺激を与えることにより、症状を改善するものです。筋肉のこり、痛み、頭痛、腰痛、神経痛、関節痛などのほか、内臓疾患、婦人病など、かなり広範囲にわたって活用されています。特に、がんこな慢性病に効果があります。
 なぜ、灸が効くのかというと、灸治療により、焼かれて死んだ皮膚の組織の一部が血管内に吸収され、この刺激によって血行がうながされ、血液中にさまざまな免疫物質がつくられるからです。それで抵抗力がついてきます。
 また、温熱でツボを刺激することで、それぞれの臓器の機能を整え、改善することができます。
 現代医学で困難な体調改善も、根気よく灸を続ければ、むずかしいことではありません。ただし、正確なツボであることが条件です。

●あとの残る直接灸と残らない間接灸とがある
 灸には、直接皮膚にすえ、あとが残る有痕灸(ゆうこんきゅう)と、あとのつかない方法で行う無痕灸(むこんきゅう)があります。
 直接、皮膚にすえる方法で一般的なのは、ツボにもぐさをのせて灸をすえる透熱灸(とうねつきゅう)です。
 ショウガやニンニクなどの1片をもぐさの下に置いて灸をすえる無痕灸は、熱くなく、あともつかないので人気があります。
 このほか、熱く感じたらすぐにもぐさをとってしまう知熱灸(ちねつきゅう)もあります。あともつかず、適度な刺激があり、効果的です。
 灸治療に必要なもぐさは、薬局で求めるのが便利です。切りもぐさの中か小の大きさが適当でしょう。火をつける線香は折れにくいものを用意します。


●同じツボに3〜7回、続けてすえる
 灸をすえる回数は、体質、体力、症状で異なりますが、大人で3〜7壮(同じ場所に1回すえることを1壮という)、子供なら1〜3壮が適当でしょう。
 1回目のもぐさが燃えつきたら、ピンセットや小筆で払い、すぐに2回目のもぐさを置いて、続けて灸をすえます。
 灸を始めて2〜3日後に、発熱したり、体がだるかったりする状態が続いたときは、回数を減らし、もぐさも小さくします。3週間くらい続けて灸をしたら、1週間ほど休みます。根気よく続けることが大切です。

●灸のあとはタオルでふきとり、軽く指圧する
 灸がすんだら、温かいタオルであとをふき、ニンニク灸などのにおいをとり、ツボを軽く指圧します。火ぶくれになったら、アルコール消毒した針で水を出し、その上に灸をします。あとが化膿(かのう)した場合は、抗生物質軟膏(こうせいぶっしつなんこう)などをぬり、灸はしばらく中止してください。


●灸をしてはいけない場合
 灸は、熱があるとき、疲れが激しいとき、めまいやどうきがひどいときは避けます。また、空腹時、逆に満腹時、酒を飲んだあとも控えたほうがよいでしょう。
 入浴後も、血行がよくなっているので、やめます。
 ただし、妊娠中、月経時の治療はかまいません。


●灸のすえ方の実際

切りもぐさが便利


[1] もぐさを多めにとり、両手で軽く丸める。手が湿っているとうまく丸まらないので、手を乾かしておく
[2] もぐさを両手で軽くもみ、細長い形にまとめる。切れないようにていねいに細くし、長く伸ばす

[3] 細長くしたところ。良質なもぐさはやわらかく、きめ細かで淡黄色をしていて、火もつきやすい
[4] もぐさを左手に持ち、その先端を米粒大くらい出して切りとる。それを円錐形にしてツボにのせる



透熱灸(とうねつきゅう) 線香を回しながらもぐさに火をつけ、すばやく左手の人さし指と中指で、灸をすえた部分をはさむように押さえる
ニンニク灸 親指大のもぐさをピラミッド状にしてニンニクの1片にのせる。頂上に火をつける
ショウガ灸 薄切りのショウガをツボに置き、その上にもぐさをのせる。ニラ、ネギみそ、塩水を含ませたガーゼを置いてもよい

●もぐさをツボに固定しにくいときは 線香の灰を指にすりつけておくか、治療するツボのところに水を少しつけ、ぬらしておく。