●子供のかぜ・インフルエンザ
原因 子供のかぜといわれる場合、うつらないかぜというのがあります。気温の変化とか煙草の煙等によって、咳をしたり鼻をたらしたりするもので、赤ちゃんや1、2歳ころの子供に多いものです。医学的にいうかぜは感染するもので、ウイルス感染によるものが90%以上です。ウイルス以外には細菌とか、マイコプラズマ・真菌等があります。
症状 鼻づまり、鼻水、発熱などが主な症状です。乳児から2〜3歳の幼児の場合、嘔吐(おうと)や下痢が主ということもあります。
インフルエンザは、ふつうのかぜにくらべ全身症状が強くあらわれます。寒けや高熱、頭痛、咽頭痛(いんとうつう)、筋肉痛、関節痛などに続き、回復に向かう段階でせきが出たりします。
治療 ふつうのかぜ、インフルエンザは1〜2週間以内に治癒(ちゆ)するため、解熱剤やせき止めなど、対症療法の薬が処方されます。
家庭では、安静にさせることが重要です。
部屋を暖かくして、冬は乾燥しないように注意し、十分な水分をとらせ、消化のよいものを食べさせます。
予防 うがいや手洗いなどを日常的に行うことがかぜ予防のひとつともなります。インフルエンザには予防接種があります。
●クループ・気管支炎
クループ{急性喉頭炎(きゅうせいこうとうえん)} 生後3か月〜3歳ころまではウイルス感染、3〜9歳までは細菌(インフルエンザ菌)感染が原因となります。
声がかすれ、犬がほえるようにせき込み、呼吸困難で息を吸うときにゼイゼイいいます。
特に1〜3歳児の場合、夜中に突然せき込み、顔が腫(は)れぼったくなります。数時間後にはせきこみはおさまり、かぜと同じ症状になります。
軽症なら、浴室に温かい蒸気を充満させて子供を入れると効果があります。
不安状態が強くて呼吸困難のときは入院させます。インフルエンザ菌感染の場合は抗生物質が処方されます。
急性気管支炎 かぜに引き続いて発病することが多く、ほとんどの場合、ウイルス感染が原因です。そのほか細菌やアレルギーによるもの、煙などによる物理化学的刺激が原因になることもあります。
症状は、せき、発熱、たんなどが、かぜの症状に続いて1〜2週間みられます。
乳幼児の場合、気管支内に分泌物がたまり、ゼイゼイと息切れがします。
細菌の二次感染が起こらなければ、自然治癒する傾向があります。薬は、症状に応じて、去たん剤、解熱剤、抗生物質などが処方されます。
市販のせき止め用の薬は、たんを出しにくくして、かえって治りにくくすることがあります。
家庭では安静にし、ときどき上体を起こしてたんを出しやすくします。また、部屋を乾燥させないようにします。
毛細気管支炎 冬から初春にかけて、3歳以下、特に生後2〜10か月の子供に発病する呼吸器感染症で、重い病気です。
マイコプラズマやパラインフルエンザ菌、アデノウイルスなどの病原体が原因です。
症状としては、乳児の場合は、鼻汁やくしゃみが出て、食欲が低下します。そして発作的にせき込み、呼吸困難を起こします。発熱はなく、くちびるやつめにチアノーゼが出ます。
治療には、入院が必要です。酸素投与、抗生物質投与、輸液が行われます。気管内にチューブを挿入して人工呼吸を行うこともあります。
呼吸困難の症状があらわれてから48〜72時間が病気の峠です。これを乗り越えれば数日のうちに回復します。
●乳児肺炎
医療の進歩で昔ほどおそれられなくなった肺炎ですが、乳児には危険な病気です。
原因 感染性の肺炎の原因は、マイコプラズマという病原体によるもの、ウイルス性のもの、細菌性のものなどがあります。
マイコプラズマ肺炎は数年間隔で流行し、多いときは全体の50〜60%を占めます。
ウイルス性肺炎は、季節によっても異なりますが、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、麻疹ウイルス(ましんウイルス)などで起こります。
細菌性肺炎は、肺炎球菌やぶどう球菌で起こります。最近では、新生児期のクラミジアによる肺炎もみられます。
症状 突然発病するというよりも、かぜのような症状から徐々に悪化していきます。くしゃみや鼻汁が初期症状です。
そして不機嫌、食欲不振がみられ、高熱、せきが出ます。息づかいが苦しそうになり、顔色も悪くなります。下痢や嘔吐、けいれんが起こることもあります。新生児の場合は高熱にならず、逆に低体温で発病することがあります。
マイコプラズマ肺炎の場合は、流行性、かかった年齢、免疫抗体の程度などによって症状が異なりますが、せきが長く続くのが特徴です。
治療 入院して治療します。年長の子供で、全身症状が出なければ家庭でも治療できますが、呼吸困難や意識障害などがみられれば、やはり入院させるべきです。
治療には抗生物質が使われるほか、症状によって輸液や酸素投与などが行われます。
家庭では以下の点に注意します。
[1]安静にする。
[2]処方された薬をきちんと与える。
[3]十分な水分と、消化がよく栄養価の高い食事を与える。
[4]口の中を清潔にする、うがいをさせる。
[5]皮膚を清潔にする(まめに体をふき、下着をかえる)。
[6]ときどき上体を起こし、たんを出させる。
回復に向かっている途中で再び発熱したり、呼吸困難になったときは、胸膜腔(きょうまくくう)にうみがたまる膿胸(のうきょう)という病気の可能性もあるため、十分な注意が必要です。
●小児結核
ツベルクリン反応やBCGで早期発見・予防が可能となり、最近あまり聞かれなくなりましたが、抵抗力の弱い子供にとっては危険な病気です。結核菌は肺だけでなく、全身に感染するからです。
症状と治療 小児結核の場合、感染源が家族で、初感染結核が多く、急激に悪化するのが特徴です。
初感染結核とは、体内に初めて結核菌が侵入して起こる結核です。
発熱やせき、食欲不振などがみられることもありますが、ほとんどの場合は初期症状がなく、ツベルクリン反応で感染しているかどうかを調べます。
乳幼児の場合、BCG接種をしていないのにツベルクリン反応が陽性になったときは、一応、感染の可能性を考えます。
治療には抗結核薬を用います。
結核菌が発見され、肺結核の症状があらわれた場合は、すぐ入院させます。
初感染結核の発見が遅れると、次のような合併症を起こすことがあります。
合併症 結核菌が血液中に入って全身にまき散らされ、いろいろな臓器にアワ粒ほどの病巣をつくることがあります。これを粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)といいます。脳神経系にまで広がるのが結核性髄膜炎(けっかくせいずいまくえん)です。
粟粒結核の症状は、発熱と倦怠感(けんたいかん)が特徴です。せきなどの呼吸器症状はありません。
結核性髄膜炎が起こると、顔面神経まひや斜視などの脳神経症状やけいれんがみられます。
予防 家庭内に結核にかかったことのある人がいる場合は、生後2〜3か月以内にツベルクリン反応を行い、陰性ならBCG接種を受けさせます。
自然陽転したあとの1年間は激しい運動は禁止です。
●結核は撲滅できる? ツベルクリン反応やBCGの普及で激減した結核。しかし患者の隔離がむずかしく、完全撲滅はまだ先の話。
|