現代医学

病気編 子供の病気
現代医学でなおす
●乳児下痢症  ●急性胃腸炎  ●アセトン血性嘔吐症  ●幼児の便秘
〈コラム〉アセトン血性嘔吐症の起こるメカニズム

●乳児下痢症
原因 細菌やウイルスによる腸管内の感染が主な原因です。しかし乳児の場合、かぜや気管支炎、肺炎などの腸管外感染によっても下痢を起こすことがよくあります。
 そのほか、単純下痢といって、心配のない下痢や食物アレルギー、抗生物質の投与などが原因となることもあります。
症状 赤ちゃんの機嫌がよければ、排便回数が多少多くとも心配する必要はありません。母乳の場合、また人工栄養でも1日4〜5回は排便があり、緑便が出たりすることもあります。
 しかし、機嫌が悪くなり、食欲が低下し、嘔吐(おうと)、発熱があるときは注意が必要です。脱水症を引き起こすことがあるからです。
 体から水分やミネラルが出てしまうのに、口からは水分と栄養分が補給できないと脱水症になります。脱水症になると、ぐったりとして元気がなくなりますが、症状が進むと、水分の不足のためくちびるや皮膚が乾き、目が落ち込み、興奮のため泣いてばかりいるという状態が続きます。
 さらに悪化すると昏睡状態(こんすいじょうたい)になり、顔面が蒼白(そうはく)になり、けいれんを起こしたり、チアノーゼが出現することもあります。脱水症の傾向がみられたら、小児科で治療を受けます。
治療 下痢の原因が細菌感染の場合は、抗生物質を使いますが、1日1〜2回の下痢や嘔吐、軽度の発熱や不機嫌といった程度ならば特別な治療は必要ありません。水分と栄養分の補給のため、母乳ならそのまま、人工栄養ならうすめて与えます。
 下痢が1日数回以上あり、頻繁(ひんぱん)に嘔吐するようになったら、脱水症を避けるためにも、止痢剤、鎮吐剤を処方してもらいます。
 水分の目安は、体重1kgに対し150ml以上です。栄養分をいっしょにとれるように、野菜スープやうすめたミルク、イオン飲料などを与えます。果汁は時によって嘔吐の原因になることがあるので注意します。投薬後にもかかわらず食べ物を吐いてしまう場合は、静脈内に輸液を行います。
 下痢が1日5〜6回以下にまで回復したら、食事は徐々にもとに戻します。離乳期以降なら、やわらかく煮たうどんなどがよいでしょう。

●急性胃腸炎
 胃腸の炎症による下痢や嘔吐、腹痛などを主症状とした病気を胃腸炎と呼んでいます。
原因 大きく分けて3種類の原因があります。ロタウイルス、アデノウイルスなどのウイルス性のもの、サルモネラ菌や病原大腸菌など細菌性のもの、ぶどう球菌や腸炎ビブリオなど、食中毒の原因となる毒素によるものです。
症状 下痢、腹痛、発熱、嘔吐が主症状です。大腸にまで炎症が及ぶと、便にうみや粘液、血液がまじることもあります。
治療 細菌性のものは抗生物質の投与を行いますが、ウイルス性のものは輸液療法や食事療法など対症療法で回復させます。年少者ほど脱水症を合併しやすいので、食事の与え方には注意します。
 下痢が激しいうちは、流動食に近いものと、十分な水分を与えます。下痢がおさまってきたら、三分粥(さんぶがゆ)、五分粥、全粥と徐々にかたいものを与えます。脂肪分は下痢が止まるまで控えます。
 下痢、嘔吐が激しくて食べ物を受けつけない場合は、静脈内に輸液をしてもらいます。

●アセトン血性嘔吐症
 1歳半〜10歳、特に2〜6歳で神経質な幼児によくみられる病気です。
 一般には、自家中毒症という名で知られていますが、食べ物にあたるという意味の中毒とまぎらわしいことから、アセトン血性嘔吐症、あるいは周期性嘔吐症と呼ばれています。
原因 旅行や遠足など、環境の変化による精神的なストレス、かぜ、疲労などが誘因となり、体のバランスがくずれ、嘔吐を起こすと考えられています。
症状 発作的に何度も嘔吐します。胃の中が空になっても吐きつづけるため、胃から出血し、血液のまじった、コーヒーの残りかすのようなものを吐くようなこともあります。
治療 嘔吐の発作が起こったら小児科医に連れていきます。嘔吐で薬の経口投与はできませんから、20%ぶどう糖液の静脈注射を行います。症状が重い場合は、入院して点滴治療を行います。
 吐きけがおさまったらジュースなどで糖分を補給し、やわらかい食べ物を与えます。
生活上の注意 神経質な子供に起こりやすい病気なので、嘔吐したときも周囲が騒ぎ立てることは控えます。また、ぶどう糖の欠乏を防ぐため、ジュースやあめなどを与えると、落ち着くこともあります。脂肪の多い食べ物は控えます。

●幼児の便秘
心配のない便秘 排便がないという症状以外に、不機嫌、嘔吐、発熱、腹痛、食欲不振などがなければ、たとえ3日くらい便が出なくても心配することはありません。
 便秘のなかには、病気が原因の場合もあるので注意が必要ですが、発育がよく、元気で食欲もある子供の便秘は、大腸における水分の吸収がよすぎるためということが多く、心配いりません。
 一過性の便秘は、乳児の場合、環境の変化や強い感情的刺激を受けたとき、あるいはおむつかぶれで肛門(こうもん)が痛む場合などに起こります。乳児でも、排便の痛みが怖いため、便秘となることがあります。
心配な便秘 おなかがはり、強い腹痛、頻繁(ひんぱん)な嘔吐があるときは、腸内にガスがたまっていることがあります。また、以下のように一刻も早い治療の必要な病気の疑いもあるため注意が必要です。
●クレチン症 生後まもなくからの習慣性の便秘で、元気がなく、泣き声も弱い場合。
●先天性巨大結腸症 哺乳力(ほにゅうりょく)がよいのに嘔吐し、おなかがパンパンにはっている場合。
●腸閉塞(ちょうへいそく)・腸捻転(ちょうねんてん) 激しい腹痛があり、浣腸(かんちょう)をしても効果がなく、少量の便が出ても楽にならない場合。発熱を伴う場合は腹膜炎等も考えられる。
治療 治療法は次のとおりです。
●授乳期の場合 哺乳量が十分で機嫌がよければ、3〜4日の便秘は心配いりません。果汁に砂糖を入れたものを飲ませてようすをみます。それでも出なければこよりで肛門を刺激しますが、4〜5日目でも便通がなく苦しそうなら浣腸をします。
●離乳期の場合 油を多めに使って調理したものを与えます。繊維の多い野菜類(サツマ芋など)も効果があります。
●幼児の場合 野菜の嫌いな子供に便秘の傾向が強いので、野菜や果物をふだんから多めに食べさせます。また、毎日決まった時間に排便する習慣をつけましょう。


アセトン血性嘔吐症の症状
ここにあげた症状は、下に並べたものほど重症の場合にあらわれやすい傾向がある。嘔吐は朝目覚めたときに起こりやすく、不機嫌、顔色が悪いなどの前ぶれの症状がなく突然嘔吐することもある。食中毒と間違えやすいが、下痢・発熱を伴わないのが特徴である


 ●不機嫌・顔色が悪い・頭痛・腹痛など 

 ●アセトンロ臭(甘ずっぱい、リンゴの腐ったようなにおい) 

 ●ケトン尿 

 ●頻回の嘔吐(1時間に2〜3回、数時間にわたる) 

 ●脱水症 

 ●手足の冷え・意識混濁(いしきこんだく) 

 ●けいれん 



●赤ちゃんに粉薬を飲ませるには 砂糖を加えてお湯で練り、指で口の中に入れてやる。ジュースにまぜてもよい。