現代医学 漢方薬

病気編 男性性器の病気 前立腺肥大症
前立腺の肥大と尿路への影響
前立腺が肥大すると、尿道が狭くなるので、膀胱に尿がたまり、その影響は尿管、腎臓にも及ぶ

前立腺を切りとる内視鏡手術
先端にメスのついた内視鏡で、内部のようすを見ながら、肥大部分を切除する。麻酔をかけるため、痛みはほとんどない。また止血の作業も同時に行う

 前立腺(ぜんりつせん)は膀胱(ぼうこう)の出口と尿道を囲むようにある栗の実大のもので、その内部には尿道周囲腺(内腺)があり、その外側に本来の前立腺である外腺があります。
 このうちの内腺部分が増大し、尿道を圧迫するために排尿に障害をもたらす病気を前立腺肥大症といいます。

原因
 前立腺は、50歳を過ぎたくらいから肥大し、60歳を過ぎると7割以上、70歳を過ぎると9割以上の人が肥大化するといわれており、このうち約3割が、治療を必要とするとされています。一種の老化現象と考えることができます。
 発病する年齢は、徐々に低くなっており、患者数も年々ふえています。
 壮年期あたりを境に前立腺がなぜ肥大化するのか、直接の原因はまだわかっていません。

症状
 最初ははっきりした自覚症状はありませんが、次のような段階を経て、症状は進行します。
第1期 前立腺が肥大すると、膀胱が刺激を受けて、尿の回数がふえてきます。特に、夜間の排尿回数が多くなります。
第2期 排尿が終わっても、尿が出きらないで、膀胱内に尿が残るようになります。残尿が起こるようになると排尿回数はさらにふえ、昼間も頻尿状態(ひんにょうじょうたい)になります。
 この時期に、何かがひきがねとなって尿がまったく出なくなることもあります。過度の飲酒、かぜや胃潰瘍(いかいよう)の薬の副作用、冷え、激しい性交、長時間座ったままでいるといったことが、それにあたります。
第3期 排尿困難がさらにひどくなり、膀胱は尿がたまってぱんぱんにはり、ときには尿もれを起こします。
 細菌が繁殖しやすくなるため、膀胱炎などの尿路感染症を合併するケースもあります。
 また、正常では栗の実大ほどの前立腺が、鶏卵大以上に肥大しているため直腸を圧迫し、便秘になることもあります。
 さらにこの状態をほうっておくと、腎機能(じんきのう)は低下し、尿毒症を起こすなど、生命にかかわるような状態になります。

検査
 前立腺肥大は、年をとればかなり多くの人に起こるものですから、多少の自覚症状ならば、経過をみてもよいでしょう。排尿困難が生じた場合は、泌尿器科の専門医に診てもらいましょう。
 まず、肛門(こうもん)から直腸部に指を挿入して前立腺の大きさを調べます。一般に前立腺肥大症では、肥大した前立腺に触れることができます。しかし、この直腸診で正常な大きさの前立腺であっても、膀胱内に前立腺が肥大している場合もあります。
 そこで、尿流量および排出状況の検査、X線検査、超音波検査、内視鏡検査などを行い、総合的に判断します。
 腎臓(じんぞう)の検査を行い、腎機能を確認したうえで、治療法を決めます。

治療
 初期の場合は薬で治療を行いますが、特効薬はないので、病状が進むようであれば手術をします。
 女性ホルモン剤や漢方薬、アミノ酸製剤、消炎剤、血流促進剤などを投与します。
 これによって前立腺のうっ血と炎症をとり除き、排尿困難をやわらげて残尿を減少させることができます。しかし、肥大した前立腺を縮小させる効果はあまりありません。
手術 病状が第2期以降のときは手術を行い、肥大した前立腺の内腺部分を切りとります。
 最近は、電子メスをつけた内視鏡を尿道から挿入し、肥大した部分を切りとる、内視鏡手術が広く行われています。
 この治療は皮膚にメスを入れる必要がなく、痛みもほとんどないので、患者の負担は少なくてすみます。
 また、手術後も数日間尿道にカテーテルを挿入しておくだけでよいので、長期にわたる入院を必要としません。
 しかし肥大の程度が非常に大きいときには、腹部を切開して、手術をする場合もあります。
 肥大の程度や患者の健康状態をふまえて判断します。

予後
 手術をして排尿がスムーズに行えるようになれば、腎臓の機能も回復します。
 前立腺をとり除くことによってインポテンツになることはありません。しかし射精した際の精液は膀胱のほうへ逆流するため、尿道には出なくなります。これを逆行性射精といいます。この現象は、性生活のうえで実害はありませんが、性生活が活発な年齢の場合には、手術の時期を遅らせるのがよいでしょう。


●なぜ前立腺というか 前立腺は膀胱の前に立ちはだかるようにあるため、この名がついた。前位腺ともいう。