現代医学 漢方薬

病気編 歯・口の病気 歯髄炎/歯槽膿漏症
●歯髄炎  ●歯槽膿漏症

●歯髄炎
 歯髄(しずい)が炎症を起こし、激しく痛む病気です。
原因 虫歯から起こる場合がほとんどです。虫歯が象牙質まで達し、象牙質にある細い管(象牙細管)を通って、細菌が歯髄に侵入して感染を起こします。
 ほかに、外傷を受けて歯が折れたり、熱や薬品で刺激されたことが原因となる場合もあります。
症状 ズキズキする歯の痛みが起こります。痛みは激しく、虫歯がある側の耳や頭まで痛みます。痛む範囲が広いので、どの歯が痛いのかわからなくなります。歯が浮き、ものがかめなくなります。
治療 応急の手当としては、ぬるま湯でよくうがいをして、虫歯につまっている食べかすなどをとり除き、綿球などでふさぎます。
 自然に治ることはないので、できるだけ早く歯科医の治療を受けます。歯髄を切りとり、そのあとをよく消毒して無菌状態にします。空洞の部分をセメントなどでつめ、歯冠が欠けている場合は、金属や合成樹脂などで修復します。

歯槽膿漏症の進行

●歯槽膿漏症
 歯科的には、辺縁性歯周炎、歯周症と呼ばれる病気です。歯をとりかこんで支えている、歯肉、歯根膜、歯槽骨などの歯周組織に慢性の炎症が起きます。歯槽膿漏症(しそうのうろうしょう)の前段階で、歯肉だけに炎症が起こる歯肉炎とあわせて歯周疾患といわれています。
 歯周疾患は、10歳代の後半〜20歳代ごろからあらわれ、30歳代で40%、40歳代で60%、50歳以上になると、80%以上の人にみられます。
原因 最大の原因は、歯みがきを怠ったためにできる歯垢(しこう)や歯石です。歯垢や歯石につく細菌が毒素などをつくり出し、歯肉に刺激を与えるので炎症が起こります。また、口をあけて呼吸をする人は、歯肉が乾燥して、炎症を起こしやすくなります。
 歯並びやかみ合わせが悪く、歯ぎしりや歯をくいしばるくせがある場合や、舌や指で歯を押すくせがある場合は、特定の歯に長い間強い力が加わることになります。そのため、歯周組織が傷つきやすくなり、炎症が悪化します。
 虫歯の治療が不完全だったり、つめたものや入れ歯が合わないとき、パイプや吹奏楽器をくわえることからも、歯周組織が傷みます。
 全身的な病気が原因となることもあります。糖尿病、ビタミン欠乏症(特にビタミンC)、卵巣や唾液腺(だえきせん)、甲状腺など内分泌の異常、肝臓の機能障害などです。
 こういった病気があると、歯そのものに原因がある場合でも、病気の進行が促進されます。
症状 歯槽膿漏症は歯肉炎が悪化して起こるので、初期の症状は歯肉炎と同じです。ごく初期には自覚症状がありませんが、徐々に、歯ぐきの炎症や腫(は)れがみられるようになります。よく見ると赤くなっている部分があり、歯をみがいたり、指で押したりすると出血します。
 病気が進行すると、次のような歯槽膿漏症に典型的な症状がみられるようになります。●歯肉が歯からはがれた状態になり、病的歯肉嚢(びょうてきしにくのう:ポケット)ができてうみがたまる、●ポケットにたまったうみが出てきたり、出血する、●歯を支える歯槽骨が溶けるので、歯がゆるくなり、グラグラする、●口の中が粘ついて、口臭がひどくなる。
 さらに悪化すると、歯肉がやせて下がるため、歯根が出てしまったり、歯が伸びたような状態になります。やがて歯のぐらつきがひどくなり、最後には歯が抜け落ちてしまいます。
治療 軽症の場合は、歯垢や歯石をとり除きます。歯と歯ぐきを歯ブラシでみがき、口の中を常に清潔にしておきます。
 ポケットができて、その中に食べかすやうみがたまり、ひどい炎症を起こしているときは、手術でポケットをとり除きます。
 歯がぐらつく場合には、細いステンレスやスチール線でしばって固定します。かみ合わせが悪いことが原因になっているときには、かみ合わせを調整します。症状が重い場合には、歯を抜くこともあります。
 全身的な病気が原因の場合には、その病気の治療を進めます。
予防 歯垢や歯石が歯につかないようにすることが最も大切です。
 ていねいな歯みがきで、歯を清潔に保ちます。歯垢は歯のつけ根にたまるので、歯と歯ぐきの間を特にていねいにみがきましょう。
 また、正しい歯みがきは、歯ぐきのマッサージにもなるので、歯肉を引き締め、炎症を起こしにくくする効果があります。
 それでも歯石がついてしまうことがあります。年に1〜2回は、歯科医で定期検診を受けましょう。

●歯垢と歯石 歯垢が唾液(だえき)の中のカルシウムと結合し、石灰化したものが歯石。上の奥歯の外側、下の前歯の内側にできやすい。