現代医学

病気編 目の病気
現代医学でなおす
●ものもらい  ●霰粒腫  ●ただれ目  ●さかさまつ毛  ●結膜炎  ●春季カタル  ●角膜炎  ●角膜ヘルペス
〈コラム〉角膜移植とは

目の周辺器官
涙腺からは常に少量の涙が出て目を潤している。そして目がしらにある涙点から涙小管、涙嚢を通って鼻涙管から鼻に抜ける

●ものもらい{麦粒腫(ばくりゅうしゅ)}
原因 まぶたの裏やまつ毛のそばにある皮脂腺(ひしせん)や瞼板腺(けんばんせん:マイボーム腺)に、化膿性(かのうせい)の炎症が起こるのがものもらいです。
 主に黄色ぶどう球菌の感染で起こります。この細菌はどこにでもいるので、汚れた手でまぶたをこすったりすると、発病することが、多くなります。
症状 まぶたが赤く腫(は)れて、強い痛みがあります。ひどいときには、炎症を起こしているまぶたと同じ側の耳前リンパ節が腫れたり、痛むこともあります。
 ふつうは、数日から1週間ほどすると自然にうみが出て、治ってしまいます。しかし、化膿がまぶた全体に広がってしまったり、結膜炎やただれ目になったり、まれには敗血症などを引き起こすこともあるので、注意が必要です。特に、子供や老人の場合、体が弱っているときは、早めに眼科医の診察、治療を受けましょう。
治療 化膿や炎症の起きている部分は、絶対にさわったり押したりしてはいけません。
 軟膏(なんこう)をぬったり、抗生物質を服用して治しますが、必要であれば切開してうみを出します。熱が出たときは、入院して治療することもあります。
 何度もくり返して炎症を起こす場合は、糖尿病、貧血、免疫疾患など全身病が隠されていることもあるので、一度、きちんと検査を受けておいたほうがよいでしょう。

●霰粒腫
 まぶたの瞼板腺(マイボーム腺)にできる肉芽性(にくげせい)の炎症で、かたいしこりができます。
原因 瞼板腺がつまって、分泌物がたまるために起こると考えられます。
症状 痛みはなく、赤く腫れることも、皮膚との癒着(ゆちゃく)や目やにが出ることもありません。炎症は慢性ですが、まれに急性の炎症が起きて、ものもらいに似た症状があらわれます。
 しこりは何か月もかかって徐々に大きくなり、さわるとグリグリした球状のかたまりがあるのがわかります。
 初期のうちに自然になくなってしまうこともありますが、大きくなると小指の先ほどになることもあります。
治療 自然になくならない場合は、まぶたの裏側から切開して、内容物をとり出します。ステロイド剤の局所注射をするとよくなることもあります。
 同じ場所にくり返し何度もしこりができるときは、がんが疑われることもあるので、精密検査を受けましょう。

●ただれ目{眼瞼縁炎(がんけんえんえん)}
原因 まぶたの縁に炎症が起こる病気です。
 主な原因は黄色ふどう球菌の感染ですが、ビタミン不足、体質やアレルギー、環境などが原因で起こることもあります。
症状 まぶたの縁のまつ毛の毛根を中心に、小さい湿疹(しっしん)ができて赤くなります。湿疹が破れたり、かさぶたができることもあり、目のまわりの皮膚がかさかさになったりします。アレルギーが原因で発病した場合は、ひどいかゆみを伴います。
 くり返して発病することが多く、よくなったり悪くなったりしながら、何年間も続くことがよくあり、まぶたが厚くなったり変形する場合や、まつ毛の生え方の方向が不ぞろいになる睫毛乱生症(しょうもうらんせいしょう)を起こすことがあります。
治療 原因をつきとめて、抗生物質やステロイド剤を患部にぬったり、ビタミン剤の全身投与を行います。
 化膿(かのう)しやすい原因をつきとめるため、皮膚科と協力して全身の検査を行い、治療を進める場合もあります。

●さかさまつ毛{睫毛内反(しょうもうないはん)}
 ふつう、まつ毛は外側に向いて生えていますが、まぶたが内側に曲がっていたりして、内側に向いて生えるのがさかさまつ毛です。そのために、目にいろいろな症状があらわれます。
原因 生まれつきのものがほとんどで、乳幼児に多くみられます。
 まれに、トラコーマや薬物、外傷などが原因の場合や、年をとってまぶたの皮膚がゆるんだために起こるケースもあります。
症状 まつ毛が角膜に触れてこすれ、刺激を与えるので、結膜が充血したり、涙や目やにが出て、痛みや異物感を覚えます。角膜の表面が、うっすらと白く濁ったようになる場合もあります。
治療 生まれつきのものは、成長とともに自然に治るのがふつうなので、症状が軽ければ、点眼薬を使いながら4〜5歳までようすをみます。このころになってもまつ毛が外側を向かない場合や、重症で角膜の傷や濁りがひどくなり、視力が低下するおそれがあるときは、まつ毛を外側に向ける手術を行います。

●結膜炎
 まぶたの裏側から白目の表面までを覆っているうすい膜が結膜で、まぶたの裏の赤い部分を覆っているのが眼瞼結膜(がんけんけつまく)、白目を覆っているのが眼球結膜です。
 この結膜に炎症が起きた状態のことを結膜炎といいます。結膜炎は、急性結膜炎と慢性結膜炎の2つに大きく分けることができます。
急性結膜炎 細菌やウイルスの感染が主な原因です。感染を起こす細菌は、コッホ・ウィークス菌、肺炎球菌、ぶどう球菌などです。ウイルス感染は、アデノウイルスやエンテロウイルスなどによって起こります。
 感染以外の原因として、薬品や紫外線の刺激、目を強くこすりすぎる、検査のときなどに結膜が刺激されるなどの機械的刺激によって起こることもあります。
 症状のあらわれ方は急激なことが多く、涙が出たり、目やにがふえたりします。かゆみはあまり感じませんが、異物感があったり、目が熱く感じたりします。
 涙は、初めのうちはさらさらしていますが、症状が進むにつれて粘りけが増します。目やにも黄色っぽくなります。
 白目の部分には充血がみられ、黒目の近くよりもまわりのほうが赤みが強くなります。まぶたの裏側をひっくり返すと、やはり充血がみられ、小さなぶつぶつができていることがあります。
 治療には、抗生物質の点眼薬や眼軟膏(がんなんこう)が使われます。この病気は治りやすく、障害が残ることもほとんどありません。
 家庭では、清潔な脱脂綿を湿らせて、目やにをふきとる程度でよいでしょう。目を洗うと、かえって刺激を与えることになり、ほかの人に伝染するおそれもあるので控えましょう。
 細菌感染が原因のものは、伝染力はそれほど強くありませんが、家族や周囲の人にうつさないような注意は必要です。洗面器やタオルは専用のものを使います。目やにや涙をぬぐった脱脂綿やガーゼは、ビニール袋などに入れて捨てます。
 ウイルス性のものは感染力が強いので、特に注意しましょう。
慢性結膜炎 ぶどう球菌や緑膿菌(りょくのうきん)などの細菌感染、かびの一種の真菌、アレルギー、機械的刺激、薬品などの化学的刺激など、さまざまな原因で起こります。
 病気の進み方はゆるやかで、いつかかったのかわからないこともあります。
 症状もおだやかで、白目やまぶたの裏の充血、目やに、かゆみ、異物感、不快感、熱感などがあらわれますが、急性結膜炎のように急激ではありません。目やにも大量に出ず、朝起きたときに、目がしらやまつ毛に少しついている程度です。
 細菌や真菌が原因のものは、抗生物質の点眼薬や眼軟膏を使って治します。
 慢性結膜炎は治りにくい病気なので、薬に加えて、日常生活の注意を根気よく守ることが大切です。十分な睡眠、栄養バランスのとれた食事を心がけ、体調を整えましょう。伝染のおそれがある場合は、洗眼をしないなどの注意も必要です。

●春季カタル
原因 毎年、春から夏にかけての発病が多く、秋から冬には治ることから、春季カタルと呼ばれます。原因はアレルギーで、子供に多くみられます。
症状 両目ともに強いかゆみを感じ、白目の部分が充血します。
 まぶたが腫(は)れることもあります。上まぶたをひっくり返してみると、石垣のようなゴツゴツした突起がたくさん並んでいることがあり、この場合にはゴロゴロして痛みがあります。
 なかには、あまりはっきりした症状が出ないこともあります。
 重症のときや黒目がおかされたときには、視力が低下したり痛みを伴ったりしますが、そこまで進行しないかぎり、あまり心配はありません。症状がよくなったり悪くなったりしながら、毎年くり返してあらわれます。
治療 この病気は、年齢とともに軽くなり、20歳ごろまでに自然に治ってしまうのがふつうです。
 症状が重いときは、ステロイド剤の点眼薬や眼軟膏、あるいはステロイド性の消炎剤などを使います。いずれも対症療法なので薬での完治はむずかしく、自然治癒(しぜんちゆ)を待つしかありません。
 悪化させないために、症状があるときは水泳などの刺激を避け、必要以上に外出しないこと、目を使わないときは眼帯をして休めることを心がけましょう。

●角膜炎
 いわゆる黒目のことを角膜といい、そこに炎症が起こった状態が角膜炎です。
原因 トラコーマや流行性角結膜炎が角膜にまで及んだり、まつ毛が不ぞろいな睫毛乱生症(しょうもうらんせいしょう)のための刺激や外傷、光化学スモッグなどで起こります。目の病気以外では、ビタミンB2の不足が原因のこともあります。
症状 目がゴロゴロする異物感、まぶしい、涙が出る、目が痛いなどの自覚症状があり、黒目の部分に濁りがみられるようになります。ものがぼやけて見えるなどの視力障害もあらわれます。
治療 まず原因となっている病気の治療を行います。必要に応じて、抗生物質やステロイド剤の点眼薬を使ったり、ビタミンB2の内服や点眼をすることもあります。

●角膜ヘルペス
 角膜の表面に、木の枝のような形の潰瘍(かいよう)ができる病気です。
原因 単純ヘルペスというウイルスの感染によって起こります。30〜40歳の男性に多くみられ、発熱や目の外傷のあるとき、ステロイド剤の点眼をしているときに感染しやすい傾向があります。
症状 病気はふつう片方の目に起こります。
 ひどい痛みがあり、まぶしさを強く感じたり、異物感があります。いつも涙が出ているような状態になり、結膜にも充血があらわれます。
 角膜の表面の潰瘍は、初めは浅いものですが、再発をくり返しながら炎症が深い層にまで進んでいきます。
 それに伴って、角膜の濁りも枝のような形から全体へと広がり、視力の障害もあらわれ、悪化していきます。
治療 抗ウイルス剤のアシクロビルの効き目が大きく、この薬の点眼をくり返すことが治療の中心です。さらに、二次感染を防ぐために抗生物質を投与したり、ビタミン剤の点眼も行われます。
 角膜全体の混濁(こんだく)と視力障害が激しい場合は、角膜移植手術を行うこともあります。


●結膜は自衛力をもっている 目が充血するのは、結膜に白血球をふやし細菌など異物と戦っているため。目やには、その戦いの残がい。