現代医学

病気編 心の病気
現代医学でなおす
●精神分裂病  ●てんかん  ●アルコール依存症  ●老年痴呆
〈コラム〉ふえるキッチンドリンカー 女性の飲酒は要注意

●精神分裂病
 精神病のなかでも、代表的なもののひとつで、現実と非現実の区別ができなくなる状態が特徴的な病気です。
 思春期から20歳前後の人に多いのですが、それ以降の年齢でも発病することがあります。
 原因は不明ですが、複数の要因があるものと考えられています。
症状 初期にあらわれる症状として、生活のリズムが乱れること、コミュニケーションが阻害されることの2つがあります。
 生活リズムの乱れは、まず睡眠時間帯にあらわれます。昼活動して夜眠るというふつうのリズムがくずれ、そのため食事の時間も乱れてきます。真夜中に食事がしたくなったり、好き嫌いが強くなることもあります。
 こうした状態が続くうちに、気力がなくなってきます。服装を整えたり、身の回りを清潔にすることができなくなり、全体にだらしなく、投げやりな感じになります。
 コミュニケーション障害は、部屋にひきこもる、自閉的になるなどさまざまなかたちであらわれます。ふつう人間は、成長につれて内から外へと人間関係を広げていきますが、精神分裂病ではそれが逆の方向に向かってしまいます。
 職場や学校をさぼったり、まわりの人に対して冷たくなったり、人と話し合うことができなくなります。やがて母親としか話せなくなり、ついには誰ともコミュニケーションできなくなることがあります。
治療 かつては、精神分裂病は、よくなったり悪くなったりをくり返しながら進行し、やがては社会生活ができなくなるものと思われていました。しかし現在では、副作用の少ない効果的な薬が開発され、かなり回復が可能な病気になってきました。
 いちばん大切なのは、よく眠ることです。そのために薬を投与することもあります。また、食生活を整え、栄養をつけます。
●抗精神病薬 分裂病に伴う精神活動の低下を活性化し、幻覚や妄想など精神の異常な状態を鎮静化します。
 治療は気長に続けなければならないため、家族の協力が不可欠です。治療の方法、投薬については、本人によく話して納得させ、安心感を与えるよう努めてください。

●てんかん
 脳の機能障害のために、けいれんや意識障害など、さまざまな症状があらわれる病気です。
原因 てんかんには、真性てんかんと症候性てんかんがあります。
 真性てんかんは原因不明で、もともと脳が発作を起こしやすい状態にあるものです。
 症候性てんかんは、脳腫瘍(のうしゅよう)や血管障害などの脳そのものの病気、尿毒症や急性疾患、アルコール中毒など、脳に影響を与える病気などが原因で起こります。
 かつては、原因に遺伝的要素があると考えられていましたが、現在では、遺伝性は低いことが研究によって証明されています。
症状 てんかんの症状は発作的に起こります。発作には、次のような種類があります。
 大発作は、急にギャッというような声をあげ、手足のつっぱるけいれん、続いて手足が震えるけいれんが起こります。意識も失います。けいれんは1分ほどでおさまり、昏睡状態(こんすいじょうたい)に陥って、20分〜2、3時間で目覚めます。
 小発作は、けいれんはなく、数秒から数十秒の間、意識を失います。何かをしている最中に起きても、意識がもどれば元どおりに続けることができます。
 精神運動発作は、意識がもうろうとした中で、無意味な動作をしたり、錯覚や幻覚がくり返しあらわれたりする発作です。
 自律神経発作は、吐きけ、頭痛、耳鳴りなどが突然起こり、2〜3分もすれば治ってしまいます。
 てんかんは、発作をくり返すうちに、知能が低下し、社会生活にも影響が出ることがありますから、早期の診断、治療が必要です。
診断 脳波検査が欠かせません。そのほか、CT検査やX線検査、超音波検査を行います。
治療 抗てんかん薬を服用します。5〜10年、あるいは一生飲みつづけなければならないこともありますが、薬が合っていれば、発作は予防できます。
 日常生活では、過労や睡眠不足を避け、酒や夕バコはやめるか控えめにします。ひとりでの水泳は厳禁です。

●アルコール依存症
 飲酒をやめたり、制限したりできないために、心身に障害があらわれ、社会生活に悪影響が出ます。
原因 直接の原因は、長年にわたる多量のアルコール摂取です。性格的な要因もかなり大きく、意志が弱い、イライラしやすく気が短い人が、現実の諸問題に正面からとり組むことができず、酒に逃げることから病気が始まります。
症状 初めのうちは、アルコールが体に入っていないと元気がなく、不機嫌です。しだいに仕事の能率が下がったり、意欲がなくなり、トラブルも生じてきます。
 病状が進むと、理解力や判断力が低下します。自己主張が強くなったり、暗示にかかりやすい、物忘れがひどいなどが目立ちます。
 体にも障害があらわれはじめます。心臓肥大、肝臓障害、胃潰瘍(いかいよう)、動脈硬化症、糖尿病などです。手の指やくちびるの震え、足腰の神経痛などもあらわれます。
 さらに重くなると、精神症状が出るようになります。全身の震えがあり、幻視、幻聴があらわれます。そのため、作り話をしたり、嫉妬妄想(しっともうそう)にかられて暴行を働いたりします。
治療 酒をやめるしかありません。しかし自力で禁酒の実行はなかなか困難なため、何らかの力を借りなければなりません。
 病院に入って治療するほか、断酒会など、同病の人と団結して治療する方法もあります。身体的な病気があったり重症の場合には、専門医の治療が必要です。

●老年痴呆(ろうねんちほう)
 年をとると、物忘れをしたり、物覚えが悪くなるのは、当然の生理現象です。
 痴呆は生理的な老化現象とは別のもので、脳の病気や損傷のために、さまざまな症状が出てきます。
 現在、日本の痴呆性老人の数は110〜120万人で、65歳以上の人約20人に1人、80歳以上では4人に1人の割合でみられます。
 痴呆には、脳血管性痴呆とアルツハイマー型痴呆があります。
原因 脳血管性の場合は、脳神経細胞を養っている血管に動脈硬化が起き、小さな脳梗塞(のうこうそく)が何か所もできて、その部分の脳の機能が低下することが原因です。
 アルツハイマー型の場合は、脳細胞に変化が生じて、脳全体が萎縮(いしゅく)するために起こります。
症状 記憶の障害、判断力の低下がみられ、自分の名前や家族の顔を忘れてしまいます。徘徊(はいかい)などの行動もあらわれ、出かけたまま帰り道を忘れて迷子になったりもします。
 睡眠のリズムが狂い、夜になると動きまわったり、意識が混濁(こんだく)して騒ぐ場合もあります。ほかに、盗み食いや失禁など、さまざまな症状があらわれます。
治療 血液循環や脳の代謝をよくする薬などで改善することがありますが、根本的な治療はむずかしいのが実情です。
 進行を遅らせたり、少しでも症状を軽くするためには、まわりの人の介護が重要です。感情の交流を保って孤独にさせないようにし、落ち着いた環境の中で安心して生活させることが大切です。家庭での看護が不可能な場合は、保健所や福祉事務所などで相談するとよいでしょう。

●精神分裂病の相談受付 (財)全国精神障害者家族会連合会(全家連) 〒110東京都台東区上野7−11−7川村ビル6F TEL03-3845-5084。