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病気編 脳・脊髄・神経の病気 神経痛
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末梢神経(まっしょうしんけい)にそって、突然激しい痛みがはしるのが神経痛です。代表的なものとして、●三叉神経痛(さんさしんけいつう)、●肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)、●坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)の3つがあります。
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三叉神経の分布と圧痛点
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三叉神経痛
顔面にはしっている三叉神経にそって、神経痛が起こります。俗に顔面神経痛ともいわれますが、正しくは三叉神経痛です。
年齢的には、40〜50歳代で発病するケースが多く、男女差では女性にやや多い傾向があります。
原因 ほとんどの場合、原因は不明です。ただし帯状疱疹(たいじょうほうしん)、頭部の腫瘍(しゅよう)や動脈瘤(どうみゃくりゅう)、動脈硬化、三叉神経に近い歯、耳、目などの病気、糖尿病、アルコール中毒などが原因のこともあります。
症状 ずきんという強い痛みが、ほお、目のまわり、ひたいなどに突然はしります。顔の片側に起こるのが特徴です。1回に感じる痛みは瞬間的ですが、波のように連続して痛みがおそってきます。短いときで数時間、長ければ1週間ぐらい続きます。
痛みはじめると、ちょっとした物音や話し声も、痛みを誘発するひきがねになります。また、顔や体に軽く触れただけでも、何かを食べたり飲んだりしただけでも、痛みが増加します。そのため、発作が起こると、患者は痛む部位を手で覆い、じっと座ってがまんしつづけることになります。
治療 発作を予防するには、抗てんかん剤のカルバアゼピンがある程度有効です。1日2〜3錠の服用で効果があります。いきなり、1日に3錠服用すると、ふらつきが出ることがあるので、最初は半錠から服用を始め、効果があらわれるまで徐々に服用量をふやしていきます。ふつうの鎮痛薬はあまり効果がありません。
三叉神経にアルコール注射をして、神経をまひさせる治療法もあります。それでも痛みが消えない場合には、手術をして三叉神経を切断することもあります。
発作が起こるかもしれないという不安から、睡眠不足や食欲不振になることがあります。それによる体力の衰弱が考えられる場合には、精神安定剤で不安をとり除きます。
生活上の注意 発作を予防するため、毎日規則正しい生活をし、肉体的にも精神的にも疲労を避けるようにします。
発作が起きてしまったときには、全身および顔面の安静を保ちます。部屋をやや暗くし、物音や人の出入りもなくして、患者への刺激を最小限にとどめます。また、痛みの発作中は、会話ができない場合もあるので、家族や周囲の人々は、十分な気くばりをしなければなりません。
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肋間神経の分布と圧痛点(背側から見たところ)
肋骨の下縁に沿って肋間神経が走っているので、肋骨の下側から肋骨に向けて強く圧迫を加えると、痛みが起こりやすい
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肋間神経痛
肋間神経は、左右12対ある肋骨(ろっこつ)に沿って通っています。この神経に沿って激しい痛みが起こるのが肋間神経痛です。
原因 帯状疱疹(たいじょうほうしん)の治った後に、発作を起こすことがしばしばあります。
ときには、肋骨カリエス、肋骨へ転移したがん、狭心症、胸膜炎などが原因になって起こることもあります。
症状 締めつけられるような、うずくような痛みがあります。せきや呼吸に合わせて痛むこともあります。
痛みは、突然起こって短時間でおさまる場合と、慢性的に持続する場合とがあります。持続する場合でも、ふつうは1〜2週間で自然におさまります。
痛みの起こる部位は、第5〜9肋間神経に多い傾向があります。左胸が激しく痛むため、狭心症の発作と間違えるケースがまれにあります。発作が起きやすいのは、胸の圧痛点を圧迫したときや、胸を広げるような動作や深呼吸をしたときです。発作が誘発されるほか、痛みがひどくなったりすることもあります。
治療 鎮痛薬が試みられます。症状が激しいときには、痛みのある神経にアルコールを注射する治療が行われます。それでも痛みがおさまらない場合には、神経を切除することもあります。
また、催眠剤や抗うつ薬の服用も、激しい痛みには用いられます。
生活上の注意 発作を誘発するような動作をしないように、ふだんから注意します。
痛みの発作が起きてしまったときには、安静と保温を心がけます。保温は痛みを軽減する効果があります。
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坐骨神経
坐骨神経は最大最長の末梢神経(まっしょうしんけい)で、下部は腓骨神経(ひこつしんけい)と脛骨神経(けいこつしんけい)に分かれ、大腿後面から足にかけての知覚をつかさどっている
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坐骨神経痛
坐骨神経痛は、神経痛のなかでも非常によくみられるものです。20歳代から始まり、40〜50歳代に多くなります。
原因 坐骨神経痛のほとんどは、椎間板ヘルニア(ついかんばんヘルニア)が原因となります。正常な状態の脊椎(せきつい)から外にはみ出した椎間板が、坐骨神経を圧迫するために痛みが起こるのです。
いわゆるぎっくり腰が、椎間板ヘルニアの急性症状で、重い物を持ち上げようとしたとき、中腰になったとき、急に立ち上がったときなどに起こります。
そのほか、脊椎の変形、脊髄腫瘍(せきずいしゅよう)、がんの転移などが原因で起こる坐骨神経痛もあります。
症状 臀部(でんぶ)から太もものうしろ側に痛みがはしります。ひざから下は下肢の外側をぬけて、ときにはかかとまで痛むことがあります。
痛みは激しく、刺すような、焼けるような痛みが続きます。体位を変えたり、足を曲げたりすると痛みが増幅します。ひどいときには、寝返りもうてなくなり、横になっているしかなくなります。
あお向けに寝て足を伸ばしたまま持ち上げると、強い痛みがあります。ラセーグ徴候といい、坐骨神経痛の特徴的な症状です。
治療 椎間板ヘルニアが原因の場合は、安静にすることが第一です。特に痛みがひどいときは、無理をして病院に行くより、家で安静にしていたほうがよいこともあります。この場合には、うすいふとんの上で楽な姿勢で横になります。ほとんどが4〜5日で痛みが消えます。それでも治らない場合には、病院に行き診察を受けます。
病院での治療は、牽引療法(けんいんりょうほう)が代表的なものです。坐骨神経の圧迫がひどい場合には、手術で圧迫部分を切除します。これで症状は完全になくなります。
生活上の注意 再発をくり返すことが多いので、いったんよくなってからも、腰に負担がかからないようにします。特に、前に記したぎっくり腰には注意します。重い物を地面や床から持ち上げるときには、必ずひざを曲げて持ち上げることが大切です。
●坐骨神経痛の治療の注意 背骨の矯正(きょうせい)、ぶら下がり、強いマッサージを自己流で行っては危険。必ず検査を受けて適切な治療を。