現代医学 漢方薬

病気編 呼吸器の病気 急性気管支炎/慢性気管支炎
●急性気管支炎  ●慢性気管支炎

気管支炎の起こる部分
急性気管支炎は、気管に急性の炎症が起こる病気で、慢性気管支炎は、気管支や細気管支に慢性的な炎症があり、せきやたんが1年間のうち3か月以上続く状態が、2年以上にわたる病気をいう

たんを出しやすくする体位性ドレナージ
たんを気管からのどのほうへ流れやすくさせるのが体位性ドレナージである。足を高くしたり、頭を低くしたりを、いろいろな姿勢で毎朝30分ほど行う。胸や背中を軽くたたいてもらうと効果的

●急性気管支炎
原因 気管や気管支に急性の炎症が起こる病気です。
 ほとんどが、かぜやインフルエンザの合併症として発病します。また、はしかや百日ぜきのとき、慢性気管支炎が悪化したときにも起こることがあります。かぜの合併症で起こる場合は、ぶどう球菌や肺炎球菌が病原体となります。ほかに、有毒ガスや刺激性のほこりが原因のこともあります。
症状 主な症状はせきです。特に初期はせきだけで、激しくせき込み、抑えきれずにくり返します。犬のほえるような音がすることもあります。せきをしたときに胸がひりひりと痛んだりもします。
 炎症が進行するにつれて、たんが出るようになります。初めは水のようなたんで、量も少ないのですが、やがて粘液のようになっていき、うみのまじった黄色や褐色のたんに変化していきます。
 炎症の範囲が広がって気管支まで及ぶと、呼吸をするたびにゼイゼイと音がして、まわりの人にも聞こえるようになります。
 病気が軽い場合は、こうした症状が1〜2日でおさまり、熱も微熱程度です。
 しかし、重症の場合や、炎症が気管支の奥にある細気管支まで広がった場合には、発熱や倦怠感(けんたいかん)などの全身症状があらわれ、息切れがひどくなったり、くちびるが紫色になるチアノーゼがみられたりします。小さな子供、老人、体力が弱い人、慢性気管支炎のある人は、重症に陥りやすい傾向があるので注意が必要です。
検査 以上の症状が出そろえば、急性気管支炎にほぼ間違いありません。
 ただし、合併症の有無を調べたり、ほかの病気との区別をつけたりするために、胸部X線検査、血液中の白血球数検査、たんの細菌検査などが行われます。
治療 軽症のときは、温度差が大きくならないように気をつけ、せきを鎮(しず)める薬を服用します。
 うみのようなたんが出るとき、病気が肺まで広がっているとき、心臓や肺に慢性の病気があるときは、早い時期から抗生物質を投与する治療法が行われます。
 たんの粘りけが強く、なかなか切れないときは、エアゾール吸入法(薬を霧状にする器具を使って吸入する方法)が効果的です。また、気管支の粘膜が腫(は)れているときには、気管支拡張剤で気管支壁の収縮を抑えます。
 日常生活では、環境の温度差の防止、保湿、栄養のある食事、水分の十分な摂取、酒を控えること、禁煙、などに注意します。

●慢性気管支炎
 この病気は、急性気管支炎が慢性化したものではありません。
 気管支や細気管支に慢性的な炎症があり、せきやたんが1年間のうち3か月以上続く状態が、2年以上にわたってみられる場合を、慢性気管支炎といいます。
原因 気道への刺激が長く続いたことが原因です。具体的には、喫煙、自動車の排気ガス、工業地帯など、空気の汚染が考えられます。特に喫煙は、気管支粘膜を刺激し、慢性気管支炎を起こす最大の原因です。
 また、体質、幼いころから蓄膿症(ちくのうしょう)があること、などもこの病気にかかりやすくなる要因です。
症状 たんが主な症状です。始まりははっきりせず、いつとはなしにたんがからむようになり、冷たい風に当たるとせき込むこともあります。最初のうちは冬の間だけだったり、タバコを吸ったときだけだったりしますが、やがて1年中起こるようになります。そして、冬期を過ごしたり、空気汚染や細菌感染にさらされるたびに悪化していきます。
 たんは、初めのうちは透明で、悪化したときだけうみがまじって黄色っぽくなります。病気が進むにつれて、うみのようなたんの出る時期が、冬の間中になり、さらに1年中になっていきます。
検査と診断 たんやせきの状態で、病気の診断はほとんどつきます。ただし、同じような症状でも、肺気腫(はいきしゅ)や気管支拡張症などの合併症があったり、肺がんが隠れていることもあります。その識別のために、たんの検査や、気管支造影法によるX線検査が行われます。
治療 慢性気管支炎は完治に時間がかかります。症状をやわらげることと、悪化するのを予防することが、治療の中心になります。
 対症療法としては、去たん剤や気管支拡張剤の服用、エアゾール吸入療法、たんの出やすい体位をとる排たん法(体位性ドレナージ)などがあります。
 悪化の原因となる細菌感染を防ぐには、人込みを避け、室内の換気を心がけることが大切です。
 毎日の生活では、禁煙が最も重要です。のどを刺激するほこりや冷気を避け、食べ物も刺激の少ないものをとるようにします。たんが出やすいように、水分は十分にとります。


●排たんにマッサージも効果的 体位性ドレナージと同時に胸部に電気マッサージをすると、たんはいっそう出やすくなる。