現代医学

病気編 内分泌・代謝異常・栄養障害
現代医学でなおす
●ビタミン欠乏症  ●ビタミン過剰症
〈コラム〉注目されるビタミンの効用

●ビタミン欠乏症
 ビタミンは、体のいろいろな機能をスムーズに働かせるための潤滑油のような役割を果たします。
 必要量はごくわずかですが、体内でつくり出せないので、食事などで体外から補給しなければなりません。
 現代では、ビタミン不足は偏食が原因で起こる場合がほとんどです。したがって、ファーストフードや清涼飲料水を好む若い世代に多くみられる傾向があります。
 欠乏症になったときに、体にあらわれる症状は、欠乏したビタミンの種類で異なります。
ビタミンA欠乏症 不足の症状は、まず目にあらわれます。自覚症状としては、●映画館などの暗闇に目が慣れるまでに時間がかかる、●夕方のうす暗い中だと細かい字が見えにくくなる、などが代表的です。ビタミンAは粘膜や皮膚にもかかわりがあるので、●肌がかさつく、●目の潤いがなくなる、といった症状もみられます。かかりやすい病気は、夜盲症、角膜乾燥症などです。
ビタミンB1欠乏症 ●疲れやすい、●手足がしびれる、●食欲不振、●下肢がだるい、むくむ、などの症状が出ます。少しの運動でもどうきや息切れを感じるようになります。ひどくなると足を動かせなくなり、かっけになります。また、●イライラする、●やる気がない、●協調性を失う、などの精神的な症状もあらわれます。
ビタミンB2欠乏症 目や口の両端がただれて炎症を起こします。口の中の粘膜や舌が赤く腫(は)れて、荒れることもあります。全身の皮膚のかさつき、肌荒れもみられます。
ナイアシン欠乏症 ナイアシンはビタミンB群のひとつで、ニコチン酸とも呼ばれます。欠乏すると、手の甲、首すじ、ほおなどに、赤い斑点(はんてん)や褐色のしみができます。同時に舌や口の中、腸、腟(ちつ)、尿道などに炎症が起きて、そのために下痢や食欲不振も生じます。症状が進むと、無気力状態、知覚異常、不眠、躁状態(そうじょうたい)、錯乱状態などがあらわれることもあります。これらの症状をペラグラといいます。
ビタミンC欠乏症 皮膚や血管がもろくなります。皮膚の点状出血、歯ぐきの腫れや出血、潰瘍(かいよう)と進んでいき、壊血病(かいけつびょう)になります。また、ウイルスに対する抵抗力がなくなり、かぜなどの感染症にかかりやすくなります。
ビタミンD欠乏症 子供の場合は、骨の成長が妨げられ、くる病になります。大人の場合は骨軟化症となり、歩行障害を起こします。
 ビタミンの欠乏症は、食生活を改善して治療することが基本です。不足しているビタミンを多く含む食品を、積極的に食事にとり入れます。
 それでも改善されないときは、ビタミン剤を服用します。総合ビタミン剤や特定のビタミンが強化されているビタミン剤のなかから、症状に合ったものを選びます。
 また、妊娠、授乳、発育期など、必要な量がふえているときや、病気などで体への吸収が悪くなっているときには、欠乏症が起こりやすいので、十分にビタミンがとれるよう、食生活を工夫する必要があります。

●ビタミン過剰症
 ビタミンには、水溶性と脂溶性の2種類があります。水溶性ビタミンは、多くとりすぎても、尿といっしょに排出されます。ところが脂溶性ビタミンは、過剰分が体内にたまって、過剰症を起こすことがあります。過剰症に気をつけたいビタミンは、AとDです。
ビタミンA過剰症 頭痛、めまい、下痢、鼻血、食欲不振、体重減少、脱毛、骨がもろくなる、肝機能の低下、などが起こります。ほとんどの場合、ビタミンAをとらないでいれば治ります。
ビタミンD過剰症 下痢、頭痛、嘔吐(おうと)などの自覚症状があります。また、関節、腎臓(じんぞう)、膵臓(すいぞう)などにカルシウムがたまります。そのために、腎機能低下や尿毒症を起こします。この場合、沈着したカルシウムはなかなかとれないので、腎機能の回復もむずかしくなります。食品添加物、ビタミンD剤、肝油をとりすぎないように注意することが必要です。


主なビタミンとその働き
ビタミン 不足すると起こりやすい症状と病気 主な働きと特徴 含まれる主な食品
脂溶性ビタミン    ●夜盲性、角膜乾燥症、結膜乾燥症、角化性皮膚炎  ●骨や歯の発育不良  ●かぜをひきやすくなる ●夜盲症・視力低下を防ぐ  ●皮膚や粘膜を健康に保つ  ●骨の強化・成長の促進  ●感染症に対する抵抗力をつける レバー、ニンジン、ホウレン草、卵、牛乳、魚の肝油
●くる病  ●骨軟化症  ●骨の発育不良  ●骨がもろく、折れやすくなる ●骨や歯を強くする  ●カルシウムの吸収を助ける レバー、イワシ、ニシン、カツオ、マグロ、シラス干し、牛乳、乳製品
●老化が早まる  ●動脈硬化になりやすい ●老化を防ぐ  ●血行をよくする 植物油、大豆、小麦胚芽(こむぎはいが)、アーモンド、ブロッコリー、ホウレン草、サバ、サンマ、イワシ
●新生児の出血性疾患  ●血液が固まりにくくなる ●血液凝固を助ける  ●内出血を防ぐ  ●月経過多・痔(じ)の出血を防ぐ キャベツ、ホウレン草、ニラ、春菊、卵黄、ベニバナ・大豆油、ヨーグルト
水溶性ビタミン    1 ●かっけ  ●神経痛  ●筋肉痛  ●末梢神経炎(まっしょうしんけいえん)  ●どうき・息切れ  ●むくみ ●炭水化物の消化を助ける  ●神経組織・筋肉・心臓の機能を正常に維持する 玄米、胚芽米、ライ麦パン、オートミ一ル、ピーナッツ、ゴマ、豚肉、大豆、アズキ、牛乳
2 ●口内炎  ●口唇炎(こうしんえん)  ●舌炎(ぜつえん)  ●結膜炎  ●皮膚の炎症 ●皮膚・つめ・髪を健康に保つ  ●口・くちびる・舌の炎症を防ぐ  ●目の疲れをやわらげる  ●脂肪をエネルギーに変える レバー、牛乳、チーズ、卵、ホウレン草、セロリ
ナイアシン ●ペラグラ  ●舌や皮膚の炎症  ●下痢  ●神経症状 ●胃腸障害をやわらげる  ●下痢を軽くする  ●皮膚を健康にする レバー、赤身の肉、小麦胚芽、トマト、ニンジン、マグロ、アボカド
6 ●皮膚炎  ●肌荒れ  ●口唇炎  ●食欲不振  ●不眠  ●月経異常  ●足がつりやすくなる ●解毒作用  ●たんぱく質・脂肪の吸収を助ける  ●神経・皮膚疾患を防ぐ レバー、牛肉、卵、牛乳、小麦胚芽、キャベツ、ジャガ芋、トウモロコシ、バナナ、ハチミツ
葉酸 ●悪性貧血  ●出血しやすくなる  ●口内炎  ●下痢  ●感染症への抵抗力が弱くなる ●赤血球をつくる  ●貧血を防ぐ  ●健康な皮膚をつくる  ●腸内の寄生虫や食中毒を防ぐ 肉、卵、ニンジン、ホウレン草、ニラ、カボチャ、豆類、牛乳
12 ●悪性貧血  ●舌炎  ●下痢  ●手足のまひ  ●神経過敏  ●運動失調 ●赤血球をつくる  ●貧血を防ぐ  ●成長促進  ●神経系統を健康に保つ  ●イライラを抑える レバー、牛肉、豚肉、ハマグリ、カキ、マグロ、サケ、卵、牛乳、チーズ
●壊血病  ●皮下出血  ●かぜをひきやすくなる  ●しみ・そばかすがふえる  ●ストレスに弱くなる ●皮膚や血管の主成分であるコラーゲンをつくる  ●感染症を予防する  ●体の抵抗力を増す  ●肌を健康にする オレンジ、レモンなどの柑橘類(かんきつるい)、イチゴ、ピーマン、パセリ、トマト、ブロッコリー、ジャガ芋、サツマ芋

●ミネラルはビタミンのよきパートナー  カルシウム、鉄、カリウムなど、ミネラルの強力な助けがなければビタミンは吸収されない。