がん・アレルギー特集 アレルギー
[3]アレルギーの知識と治療
花粉症
〈コラム〉アレルギーの予防薬

現代医学では
原因
スギ花粉だけでなくヨモギ、ブタクサなどさまざまな花粉が原因
 花粉症は、空気中を漂っている花粉が、目や鼻の粘膜に付着してアレルギーを起こすものです。病名ではなく、花粉をアレルゲンとするアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎などの総称です。
 1960年代ぐらいまでは、日本ではごく少数の患者しかいなかったようです。しかし最近は年々急増し、アレルギー性疾患の代表のようにいわれているのは、ご存じのとおりです。
 日本では花粉症というと、すぐにスギの花粉を思い浮かべます。スギ花粉症の人が圧倒的に多いからでしょう。
 しかし、花粉症のアレルゲンは、スギのほかマツ、ヨモギ、ブタクサ、カモガヤなど実にさまざまです。その植物によって花粉が風に乗って飛ぶ季節は違いますから、アレルギーを起こす時期も、スギ花粉症のように春先だけとは限りません。

症状
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど、主症状は鼻に出やすい
 花粉症は、鼻の粘膜に花粉が付着して起こることが多く、症状も主に鼻にあらわれます。たてつづけに起こるくしゃみ、水のような鼻水が大量に出る、そして最後には鼻づまり、これが花粉症の3大症状です。
 そのほか、花粉が目の粘膜に付着すると目が充血してかゆみが生じますし、のどの粘膜に付着するとのどがいがらっぽくなります。気管支にまで花粉が入り込むと、ぜんそくの発作を起こすことになります。

検査
皮膚反応テストやRAST法でアレルゲンを確定
 花粉症のアレルゲンはスギ花粉だけではないので、まずはアレルゲンが何かを確定する必要があります。
 そのためには、皮膚反応テストやRAST法などが行われます。皮膚反応テストは、皮膚に小さな傷をつけ、それにアレルゲンのエキスを1滴つけて調べるか、皮内に注射してアレルギー反応が起こるかどうかを調ベる方法です。
 RAST法は、血液中の免疫グロブリンE(IgE)を調べ、その抗体がどのアレルゲンに対するものかを調べる方法です。
 そのほか、植物によって花粉の飛ぶ時期が違うので、花粉症の症状があらわれる季節なども加味して決定します。

治療
減感作療法で根気よく治療。ひどい症状は対症療法剤で
 アレルギーの根治療法に、減感作療法(げんかんさりょうほう)があります。これは、アレルゲンを少しずつ注射していき、体をアレルゲンに慣れさせる方法です。ただ、治療期間は2〜4年ぐらいかかります。
 そのほか、体質改善のためにヒスタグロビンという薬の注射が行われます。いずれにせよ、根気よい治療が必要です。
 減感作療法は、必ずしも根治するとは限りませんので、ともかくひどい症状を何とかしたい場合には薬を使います。
 症状を鎮(しず)めるための薬としては、抗ヒスタミン剤やステロイド剤などが用いられます。ステロイド剤は副作用が強いので、最近では副作用の心配が少ない噴霧式が用いられるようになりました。
 アレルギーは、アレルゲンが口や鼻から侵入しないかぎり起こりません。
 外出はなるべく控え、花粉を含んだ空気が室内に入らないよう、窓や戸を閉めておきます。また、外に干した洗濯物やふとんには花粉がついているので、とり込むときに、はたいて落としてください。
 外出の際はマスク、帽子、めがねなどで覆い、花粉との接触を極力おさえます。


花粉暦(花粉症の原因になる植物)
名称 開花期 特徴
スギ 2〜4月 花粉の数も多く、アレルギーを起こす力も強い。スギ花粉症の人は、サワラやヒノキにも過敏な場合が多いので、スギ花粉シーズン後も要注意。
オオアワガエリ 4〜6月 明治以後の帰化植物で、群生する多年草。大量の花粉をもつ。
マツ 4〜6月 大量の花粉をまき散らすが、花粉症のアレルゲンとなることは比較的少ない。
カモガヤ 5〜6月 明治以後日本に入った草木で、日本各地に分布。平地では6月ごろの開花だが、山岳部の低温地帯では7月の開花となる。
ブタクサ 7〜10月 キク科の一年草で、帰化植物。アメリカではこの植物の花粉症が非常に多く、日本で花粉症の名が知れたのも、ブタクサ花粉症から。
カナムグラ 7〜10月 クワ科の一年生つる草。花粉の量としては多くないが、アレルゲンとなる。
ヨモギ 7〜10月 どこにも分布し、しかも群生するだけに、花粉と接触する機会も多く、花粉症の原因として重要視されている。
ヒメガマ 7〜10月 ガマ科の多年草で、湿地などによく自生している。花粉の量が非常に多い。
セイタカアワダチソウ 9〜10月 関東以西に大群落をつくって自生するキク科植物。花粉量は多いが、50m以上飛ぶことはほとんどない。

● アレルギー性鼻炎に似た血管運動性鼻炎 気温の急激な下降で鼻水やくしゃみが出る。とくに冷房のきいたところに入ったときや朝などに症状が出る。