がん・アレルギー特集 がん
「がん」今、この難病は確実に克服されようとしている
[1] 遺伝子のレベルまで進んだ“がん”解明
〈コラム〉画像で診断/内視鏡イメージセンサー

正常と異常な遺伝子の配列(解析写真)
ラットのがん細胞によく見つかる遺伝子の突然変異。上が正常な配列、下が変異を起こしたもの

細胞ががん化するプロセス

発がんイニシエ一ター
●タバコ
●ベンツピレン(車の排気ガス、タバコのタールに含まれる)
●AF2(食品添加物)
●トリプP1、P2(魚や肉の焼け焦げにできる化学物質)
●紫外線
●放射線
●B型肝炎ウイルスなど

発がんプロモータ一
●タバコ
●性ホルモン
●サッカリン
●農薬のDDT、BHC
●断熱材のPCB
●鎮痛薬のフェノビタールなど

がん細胞は増殖スピードが速く、転移するのが特徴
 いまや、がんは日本人の死亡原因の第1位。全死亡者の4人に1人は、がんで亡くなっていることになります。
 がんは、健康な細胞が何らかの要因によってがん細胞に変化し、それが私たちの体の健全な新陳代謝を無視し、勝手に分裂増殖をくり返してしまう病気です。
 増殖したがん組織は、だんだんと大きくなり、やがてまわりの正常な組織を破壊したり、ほかの組織が必要としている栄養を奪ってしまうようになります。
 がん細胞の特徴は、●細胞の分裂増殖が果てしないこと、●そのスピードが速いこと、●転移することです。転移とは、がん組織の一部が組織を離れて全身にばらまかれ、そこでまた増殖していくことです。こうして全身をむしばんでいき、やがて死につながっていくことになります。
 この人間の敵ともいえるがんを撲滅するために、がんのメカニズムを解明し、診断法や治療法、そして予防法を確立していくことが、現代医学の最大の課題です。

細胞の増殖に役立っている遺伝子が、突然狂ってがんに
 健康な細胞が、なぜ突然がん細胞に変わってしまうのでしょうか。
 まず化学物質やウイルスなどのイニシエーター(発がん因子、いわゆる発がん物質)によって、細胞内の遺伝子の構造が変化します。そこにさらにプロモーター(発がん促進因子)が加わると、細胞自体の性質も変わり、異常な増殖や転移が起こるようになります。これが細胞の“がん化”です。
 イニシエーターによってがん化へのひきがねがひかれてから発病まで、10〜20年ほどかかるといわれます。
 まだメカニズムの細部まではわかっていませんが、最近では遺伝子レベルでの解明が進み、がん遺伝子も50種類ほど発見されています。また、がん遺伝子は健康な細胞にもあり、もともと細胞の増殖にかかわる重要な役割をもっていること、さらに、細胞内のいろいろな遺伝子の多段階な変化が、がん化に至る過程で必要なことがわかってきました。
 こうした新しい発見によって、現在では、イニシエーターによってがん遺伝子の働きが狂い、本来つくるべきではない異質なたんぱく質をつくったり、大量のたんぱく質をつくるなどの異常が起きて、それが、正常細胞のがん化につながっているのだろうといわれています。

胃がんが減り、肺がんや大腸がんが増加
 日本では、発生率でも死亡率でも、相変わらず胃がんが第1位を占めています。
 しかし最近では、検診による早期発見・早期治療の意識が高まったこともあり、胃がんでの死亡は減少傾向にあります。子宮がんも、同様の理由で減っています。
 反対に増加しているのが、肺がんや大腸がん、乳がんなどです。こうした部位別の発生傾向をみてみると、日本も欧米型になりつつあるといえます。その原因は、欧米型になってきた食生活や生活環境だろうといわれています。
 しかし、がん発生のメカニズムに働く危険分子が明らかになり、検査、治療の技術発達も著しい現在、がん克服の希望は大きいといえましょう。


●がん電話相談は… 癌研究会 TEL03-3918-0110。受付は、月(午前11時〜午後3時)火・水・木(午前11時〜午後2時)。