現代医学

病気編 女性の病気
現代医学でなおす
●乳腺炎  ●乳腺線維腺腫  ●乳腺症

乳房のしくみ
乳房は、皮下脂肪組織と乳腺組織からできている。月経周期のホルモンの変動に伴って、乳腺の状態は常に変化する

●乳腺炎
 乳腺(にゅうせん)に細菌が感染して起こる病気です。授乳期に起きる急性の乳腺炎と、若い女性に起きやすい乳輪下膿瘍(にゅうりんかのうよう)とがあります。
授乳期乳腺炎 分娩(ぶんべん)後2週間ごろの授乳期、ことに初産の場合に多くみられます。乳腺内に乳汁がたまっているときに、乳首からぶどう球菌などの細菌が感染して起こる急性の炎症です。
 乳房全体が腫(は)れ、皮膚が赤くなリ、熱感や痛みを伴います。病状が激しい場合はうみがたまって膿瘍ができ、しこりのように感じることもあります。
 冷湿布をしたり、搾乳器で乳汁をしぼり出すほか、抗生物質を投与すると治ります。膿瘍ができた場合は、切開してうみをとり出す必要があります。
 授乳期は、細菌が感染しないように乳頭を清潔にしておくことと、乳汁がたまらないように積極的に授乳することが大切です。
乳輪下膿瘍 若い女性のなかでも陥没乳頭の人に多くみられます。乳管膨大部に細胞の老廃物がたまって炎症を起こし、乳輪下の部分に膿瘍ができます。
 もともとは無菌性の炎症ですが、膿瘍ができるころには複合感染をしている可能性があります。抗生物質の投与とともに、膿瘍部分の切開、排膿(はいのう)を行います。

●乳腺線維腺腫
 乳房の中に良性の腫瘍(しゅよう)ができます。ほとんどの患者は若い女性で、20歳代に最も多く起こります。
 腫瘍はかたく、まわりのやわらかい部分との境がはっきりしています。ふつうは1個ですがまれに複数の腫瘍ができることもあります。乳房にしこりを感じると、すぐに乳がんを連想する人が多いようですが、たいていは良性の腫瘍です。特に若い女性は、まずこの乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)を疑うべきでしょう。しかし、精密検査を受けてがん細胞でないことを確認し、そのうえで適切な治療を行います。
 線維腺腫は薬物療法で消すことはできません。腫瘍部分を摘出する手術を行います。通院でできる簡単なもので、乳首や乳房のふくらみも残ります。特に腫瘍が乳首の近くにできた場合には、乳輪にそってメスを入れるので傷あともほとんど目立ちません。

●乳腺症
 乳腺線維腺腫と同様、乳房にしこりのできる病気です。
 卵巣ホルモンのバランスがくずれて起こる乳腺の変化で、腺症、嚢胞症(のうほうしょう)、線維症、乳頭腫症などの病変が集まったものです。
 たいてい両方の乳房にでき、乳腺の一部がかたくなり、押すと痛みを感じます。排卵日を過ぎると乳腺の痛みはさらに増します。
 初期のうちはやわらかく、しかも両乳房に起こることから、乳がんとの区別は容易にできます。しかし症状が進行すると徐々にかたくなっていくので、がんとの区別がしにくくなります。X線でも判別がむずかしく、切開してみて判断する、ということにもなります。乳腺症がそのままがんになるということはありませんが、しこりを感じて痛みを覚え、それが月経期に入ってもおさまらないような場合には、早めに専門医に相談しましょう。ホルモン剤を投与すると、痛みは軽減します。


●乳腺痛(にゅうせんつう) 月経前の乳房の痛みは、排卵後の黄体ホルモンなどの増加によって、乳房が肥大したために起こる。月経期に入ると消える。