腎臓(じんぞう)は、横になっているときより立っているときのほうが、3cmくらい下に下がるのがふつうです。その下がり方がひどいものを腎下垂といいます。下がるだけではなく、前後左右に動いてしまうものを遊走腎といいます。
やせ型の女性に多い
遊走腎は、女性に多くみられます。女性のうち10〜20%は遊走腎をもっているともいわれ、特に多いのは、20〜30歳代の若い女性です。男性の遊走腎は女性の10%程度です。また、やせている人に多くみられるという傾向があります。
腎臓は、動脈と静脈の2本の血管で支えられ、後腹膜腔の中に位置しています。
やせている人は、腎臓のまわりの脂肪が少ないのですき間ができ、腎臓が動きやすい状態になります。
男性に遊走腎が少ないのは、やせ型の人でも、女性に比べて筋肉や脂肪組織がしっかりしているためと思われます。
ほとんどが無症状
遊走腎は、体を横にしたり立ったりの変化に伴って腎臓が動く現象で、不快な自覚症状が出なければ心配はありません。
症状が出る人はたいへん少なく、遊走腎のある人のなかでも、女性では100人のうち4人、男性では1000人のうち2人くらいの割合です。それ以外の人は遊走腎に気づかないまま生活しています。
症状が出るのは、腎臓の下がり方がひどく、骨盤の中に入るほどの極端な状態になったときです。
よくみられる症状は、腰や脇腹の鈍痛です。血尿やたんぱく尿、頻尿(ひんにょう)、排尿困難、胃腸症状や不定愁訴も起こります。
鈍痛や排尿の異常は、腎臓が下がって血管が引っぱられたり、尿管が曲がりくねったことが原因です。胃腸症状、頭痛、耳鳴り、倦怠感(けんたいかん)などの不定愁訴は、腎臓といっしょにほかの内臓も下がったために起こります。
これらの症状は、立った姿勢を続けているとあらわれ、横になるとおさまります。
腹筋を強くするとよい
手術をするのはかなり限られたケースだけです。一般的な場合は、次のような保存的療法です。
ときどき横になります。頭を低く、足を少し高くするとより効果が上がります。
腹筋を強くする運動をして、腎臓を下がりにくくします。
コルセットをつける方法もありますが、効果的に使用するために、医師の指導を受けましょう。
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